新型コロナウイルス感染拡大が与えるパチンコ業界への影響について

新型コロナウイルスの感染拡大が全世界で様々な影響を及ぼし甚大な被害を与えている。2020年4月10日現在、全世界での感染者数は約160万人を突破し、死者数は約9万6千人に上る。(朝日新聞より)人的被害はさることながら、経済活動へのダメージも大きく「リーマンショックや東日本大震災の比ではない」という声は各業界から耳に入る。パチンコ業界も例にもれず大きな被害を被り、全国各地から悲鳴の声が上がっている。

直面する未曾有の事態に慌てるのではなく、感染拡大がどのような影響をもたらしているのか、その状況を把握することは意義がある。このような状況下、本稿はパチンコ業界の一側面を映し出すことを目的としている。世間の反応は賛否両論はあるものの、新型コロナウイルスがパチンコ業界にもたらしている影響をいくつか紹介したい。

パチンコ業界への世の中の反応

2020年3月6日、内閣委員会において立件民主党の早稲田衆議院議員がある質問を行った。その内容は、新型コロナウイルス感染症対策として全国の学校が一斉休校となる中、パチンコ店が営業を継続していることに対して疑問を呈するものであった。

議員によると「専門家が閉鎖空間や換気のできないところに長時間いる場合、そして特に高齢者はリスクが高いという事を繰り返し述べている中で、休校に踏み切った。かたや若者たちからは『高齢者たちが長時間いるパチンコ店はどうなんだ』『休業についての働きかけも考えるべきじゃないか』という声が上がっている」と指摘している。

答弁の内容に対して賛否両論があるのは事実だが、世間のパチンコ業界に対する一つの見方を表していると言えるだろう。この答弁の後、感染リスクが高い高齢者はもちろん、身内に高齢者がいるような世帯の来客は著しく減少した。

遊技場業界の全体に渡る自粛要請

パチンコ業界は二重の要請を受けている。不要不急の外出、平日夜間の外出自粛など各自治体から住民に自粛があるほか、パチンコ業界では関係団体からの自粛要請が挙げられる。数少ない集客ツールであるLINE・メールなどの集客目的の宣伝行為に対する自粛や、ネオンの消灯などを要請される地域もある。

こういった業界内での自粛要請については、言葉通り要請にとどまるが、これは今では業界団体にとどまらない。業界への通達は警察庁からなされたので、事実上の規制に近い。要請に従い、集客目的のツールを手放す以上、来店客が減少するのは当然である。かくしてパチンコ業界は他業界と同様、新型コロナウイルスの影響による収益の悪化は回避できない事態となったのだ。

サプライチェーンの停滞が新台の発売時期に影響

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規則機の製造の様子

パチンコ・スロットメーカー数社で相次いで発売予定だった新台の発売延期がされた。大きな理由は2つ挙げられる。まず中国に部品工場をもつメーカーがその供給を受けられなくなったことが挙げられる。感染拡大により「世界の工場」である中国での生産活動が大きく停滞したためだ。もう1つは、2020年4月7日に発令された、7都府県における緊急事態宣言によって対象の地域の工場から新台を出荷できなくなったことが挙げられる。これらにより、発売する予定だったメーカーはもちろんだが、その供給を受けるはずのホールでも悲鳴を上げている。

新台の導入は集客効果がある。新台の導入が遅延することで、当初計画していた来客などが見込めなくなるなどの影響がある。特に、遊技場業界では抜き差しならない「期限」が存在する。来年2021年1月にはパチンコ・スロットの旧規則機を撤去しなくてはならないのだ。これは2018年2月に出された改正規則によるものだ。対象規則機の入替が滞りなく進むかは不透明な状況ではあったが、今回の新型コロナウイルスの影響で新規則機の供給がストップする以上、ますます困難な状況に差し掛かった。予定していた新台を導入出来ない以上、パチンコやスロットを外し、「板」貼り状態にするという店舗もすでに存在する。

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遊技場内の感染対策のアナウンス

以上が新型コロナウイルスの感染拡大が与えるパチンコ業界への影響の概要だが、おそらく他業界でも共通する様々な問題を抱えているであろう。後の新型コロナウイルス感染拡大がどのような展望となるかははっきりしない。この未曾有の事態が1日も早く収束することを心から願う。

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