ダイムラーとボルボが共同で水素トラックを開発

ボルボとメルセデスの親会社であるダイムラーは、環境に優しい輸送のために燃料電池(Fuel-cell)を搭載したトラックやバスを製造する合弁事業で合意しました。このプロジェクトは、ボルボ・グループが約6億5,000万ドルを投じて参入する一方、ダイムラーは燃料電池に関する既存の研究に貢献するという折半出資のものです。

燃料電池は、水素と酸素を他の化学物質で複雑にサンドイッチして電気を発生させ、自動車のモーターに電力を供給するものです。その際、副産物として発生するのは、従来のガソリンやディーゼルエンジンから発生する通常のスモッグではなく、純粋な水だけです。

ダイムラーは数年前から、メルセデス・ベンツの燃料電池事業(Mercedes-Benz Fuel Cell GmbH)の一環として、水素自動車(FCV)の開発に取り組んできました。これは、ダイムラーの他の燃料電池事業とともに、ダイムラー・トラックスに移管されることになります。この合弁事業は、ダイムラーやボルボとは別個の独立事業体として運営されます。

両社は21日、今回の提携について、「両社が力を合わせることで開発コストを削減し、大型輸送車や要求の厳しい長距離用途に使用される製品への燃料電池システムの市場導入を加速させることができる。現在の経済不況の中で、グリーン・ディールの目標を期間内に達成するためには、協力がより一層必要だ」と述べています。

ドイツ・キルヒハイムのナベルンにある燃料電池駆動装置の組立ライン。

欧州グリーン・ディール(European Green Deal)では、2050年までに「持続可能な輸送」と「カーボンニュートラル」の両方を目標としています。水素は、乗用車の代替燃料としての動きがありますが、水素ステーションの普及は進んでいないのが現状です。例えば米国では、トヨタとホンダが燃料電池車を展開しているもの、インフラが整備されている限られた市場でしか販売されていません。

しかし、トラックやバスなどの大型車は、これまでとは異なる可能性を秘めています。まず、これらの大型車は、かなり大きな燃料タンクを搭載することができるため、長距離走行にも十分な水素を確保できます。水素自動車の場合、ガソリン車とほぼ同じ時間で燃料を補給できるため、電動トラックやバスのバッテリーを充電するよりも、はるかに早く燃料タンクを満タンにすることが可能です。

こうした可能性を秘めていることから、このカテゴリーで水素に注目しているのはダイムラーとボルボだけではありません。例えば、トヨタは3月に、ゼロエミッションで航続距離数百kmの大型燃料電池トラックを開発中であることを発表。このトラックは日本市場を対象としています。

ダイムラーとボルボの目標は、10年後を目安に大型燃料電池車を量産すること。両社はまた、自動車用と非自動車用の両方で、水素を燃料とする他の可能性についても示唆しています。すべてが計画通りに進めば、合弁事業に関する契約は今年末までに締結されるでしょう。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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