洗練された12気筒エンジン 超高級車ベントレー「バカラル」はこうして作られる

2020年12月、ベントレーは超高級車『バカラル(Bacalar)』の市販モデルのテストを開始しました。バカラルは、ベントレーのコーチビルド部門マリナーによる最初の車両で、搭載されるパワーユニットは「世界で最も洗練された12気筒エンジン」です。

バカラルはベントレーの中でも特別な存在です。生産されるのはわずか12台のみで、750個の新しいパーツ、40個以上のカーボン製コンポーネント、約100個の3Dプリントされたパーツを使用して、英国のクルーで手作業で組み立てられます。デザインが似ている『コンチネンタルGTコンバーチブル』とはボディパネルを共有しておらず、唯一ドアハンドルだけが引き継がれています。

ベントレー『バカラル』

職人によるコーチワークは言わずもがなですが、W12エンジンは称賛に値するパワーユニットです。直近では、記念すべき1台目のユニットの組み立てと生産テストを完了しました。ベントレーによると、45人の職人からなるチームが6.5時間以上かけて手作業で製造した後、「高度に洗練されたテスト」を行うとのこと。

テストは大きく分けて3種類。まずリークテストでは燃料、オイル、冷却水の各システムを0.2~5.0barで加圧し、シーリングの状態を確認します。次に、コールドテストでは、エンジンのクランクシャフトを外部電気モーターに接続。120rpmの回転数で、シリンダー内の燃焼タイミングなどをセンサーでチェックします。

最後にホットテストが行われ、クーラントと燃料システムを空気と窒素で加圧してリークを特定します。テスト後、最大負荷300Nmの荷重をかけて、3,800rpmで21.5分間回転させます。ベントレーによると、100台に1台のエンジンが、最大トルク900Nmを発生させながら、8時間にわたり最大6,000rpmで回転させ続けるテストを受けているとのことです。

こうして作られた6.0L W12エンジンは、最高出力650馬力、最大トルク904Nmを発生させます。ベントレー・バカラルの価格は約200万ドル(2億円)。開発にはあらゆる手が尽くされています。

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

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