頂点の高級セダン 新型メルセデス・マイバッハ「Sクラス」詳細チェック

メルセデス・マイバッハは、新型「Sクラス」を発表しました。メルセデスの頂点に君臨する最上級セダンは、どのような進化を遂げているのか。米スラッシュギア編集部がチェックします。

新型メルセデス・マイバッハ「Sクラス」

(以下、米スラッシュギア編集長ヴィンセント・グエンによるレビュー)

Sクラスがメルセデス・ベンツのラインナップのビッグ・ダディであるとすれば、新型マイバッハSクラスはスリーポインテッドスターの「ゴッドファーザー」であるように思える。マイバッハはSクラスが備える最新のテクノロジー、ラグジュアリー、安全機能のすべてをさらなる高みへといざなう。

マイバッハSクラスは最新モデルのメルセデス・ベンツSクラス(W223)をベースにしているが、18cm長いホイールベースを採用し、後部座席の空間をより広くしている。実際、マイバッハは何よりも後席を重視していることを前面に打ち出している。つまり、後席でのんびり過ごす時間が長い人であれば、マイバッハSクラスの方が良い選択肢になるということだ。

新型メルセデス・マイバッハ「Sクラス」

メルセデス・マイバッハの製品管理責任者であるディルク・フェッツァーは次のように述べている。

「創立100周年を目前に控えたマイバッハは、新型メルセデス・マイバッハSクラスでその進歩的・近代的なアプローチを強調しています。特に快適性、安全性、デザインに関して、競争の激しいラグジュアリー・セグメントで他にはない魅力を備えています」

標準モデルよりも長いホイールベースを持つマイバッハSクラスは、最大127cmの巨大な後席レッグルームと最大32.5cmのニールームを備えている。従来のベンチシートの代わりに、マッサージ機能付きのフットレストを備えた電動エグゼクティブ・リアシートが用意されている。ノートパソコンなど、さまざまアイテムを使うのに十分な大きさと頑丈さを備えた折りたたみ式テーブルが付属する。

新型メルセデス・マイバッハ「Sクラス」

ダイヤモンドパターンの装飾、ネック/ショルダーヒーター、サイドボルスター、マッサージ機能が装備され、最高の快適性を実現している。さらに、オプションでアームレスト内に10Lの冷蔵室を設置することができる。後席をもっと贅沢にしたいなら、「エグゼクティブ・リアシート・プラスパッケージ」を選ぶとウッドパネルが追加される。

新型マイバッハSクラスには、電動でソフトクローズする「コンフォート・リアドア」が装備されている。従来のドアハンドルを使って手動で開閉することもできるが、キーやタッチスクリーンディスプレイで操作することが可能だ。リアシートのディスプレイやルーフライナーのスイッチを押しても反応する。ドアハンドルを引くのが面倒な場合は、軽く触れるだけで開く。

新型メルセデス・マイバッハ「Sクラス」

スタイリングとしては、クローム仕上げのフィンを備えた新しいボンネット、「MAYBACH」のロゴが施されたクロームグリル、ブラックまたはクロームメッシュのエアダクトを備えたフロントバンパーを採用。リアドアが大型化し、Cピラーにはマイバッハのエンブレムが飾られている。一方、テールライトは標準のSクラスと共通だ。

ロールス・ロイスと同様に、手作業で仕上げるピンストライプやコーチラインのツートンを指定することができる。もちろん、ツートン以外にもノンメタリック、メタリック、オーダーメイドのカラーリングも用意されている。

車内は高級ヨットのように豪華で、ハイテク装備も充実している。ドライバー正面には12.3インチの3Dデジタルメーターとヘッドアップ・ディスプレイを配置し、センターコンソールにはMBUXとナビを搭載した12.8インチの有機ELタッチスクリーンを装備。メーターの針とダイヤルをローズゴールドに変更する特別なエグゼクティブモードも備えている。

後席乗員用ディスプレイやタブレットを含む5つのタッチスクリーンを標準装備。シートとヘッドライナーにはプレミアムナッパレザーを採用し、64色のLEDアンビエントライトが夜を彩る。

新型メルセデス・マイバッハ「Sクラス」

パワートレインには、現行のS580 4MATICと同様の4.0L V8ツインターボエンジンを搭載。エンジン単体で496馬力と700Nmのトルクを発生する。また、48Vマイルド・ハイブリッドのEQブーストから最大21馬力、250Nmのトルクを追加。合計出力は517馬力、トルクは950Nmにも上る。

4MATIC AWDと9速ATの9G-TRONICを搭載。パフォーマンスの詳細は明らかにされていないが、最高速度は210km/hとなっている。

マイバッハによると、第2世代の統合スターター/ジェネレーター(ISG)がトランスミッションに内蔵されており、HVACシステム用の電気冷媒コンプレッサーを設置できるようになっているという。これにより、エンジンが稼働していなくても、空調システムを作動させることができるようになった。

ブランドの中核となるのは快適性だ。マイバッハSクラスには減衰力を調整可能なダンパーとダイナミック・セレクト・ドライビング・モードを備えたAIRMATICエアサスペンションが標準装備されている。

新しいEアクティブ・ボディ・コントロール・アクティブ・サスペンションは、来年からオプションとして用意される。ステレオカメラで前方の道路をスキャンし、段差やカーブを予測してサスペンションを調整するだけでなく、万が一の衝突時に車高を自動的に上昇させ、衝突力を車両下部に向けることができる。

新型メルセデス・マイバッハ「Sクラス」

新機能として、雲のような快適性を最大限に優先したドライビングモードが追加された。さらに、厚い積層ガラス、Cピラーとリアホイールアーチの吸音材、アクティブ・ノイズキャンセリングシステムなどにより、静粛性をさらに向上させている。ノイズキャンセリングは、標準装備のブルメスター製4Dサラウンドオーディオシステムのスピーカーを利用する。

標準のSクラスより全長が延びているにもかかわらず、後輪ステアリングが標準装備されているため、旋回円を最大2メートル短縮。ホイールサイズ(20インチが標準)に応じて、後輪を最大10度回転させることができ、高速でのハンドリングと低速での操縦性を向上させている。

新型メルセデス・マイバッハ「Sクラス」

さすが高級セダンだけあって、ハイテクな安全装備が満載だ。後席にはサイド・クッション・エアバッグ、インフレータブル・ベルト・バッグ、フロント・エアバッグ、サイド・エアバッグ、そしてルーフに配置されたウィンドウ・エアバッグが装備されている。

運転支援システムとして、アクティブ・ディスタンス、ステアリングアシスト、道路標識認識機能、アクティブ・レーンキーピング、アクティブ・レーンチェンジ、回避ステアリングアシスト、アクティブ・ブラインドスポットアシストなどを標準装備。

Sクラスが比較的ニッチなクルマだとすれば、マイバッハモデルはニッチの中の贅沢なニッチだ。後部座席での生活を体験できる人はほとんどいないだろうが、プライベートジェットのようなものと考えれば無理もない。

2021年モデルのメルセデス・マイバッハSクラスは、2021年春にドイツで、夏に米国と中国で納車が始まる。価格は未発表だが、現行モデルは17万3000ドル(日本仕様は2,398万円)前後からとなっている。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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