新型日産「ローグ」試乗レビュー アメリカ人の感想は?

日産の北米法人は新型「ローグ(日本名:エクストレイル)」を発表し、10月後半に発売するとしました。車両価格は25,650ドル(約267万円)から。スラッシュギアの米国編集部は、公開された新型ローグにいち早く試乗。その感触を確かめました。

日産「ローグ」 2021年モデル

(以下、スラッシュギア米国編集部によるレビュー)

3代目となる新型「ローグ(Rogue)」は、ナイフの刃の上に立たされている日産の将来にとって極めて重要な存在となるだろう。米国でもっとも売れている日産車はローグだ。

2018年のコンセプト「X-Motion(クロスモーション)」から多くを引き継いだデザインは美点の1つだ。フロントの大胆なVモーショングリル、スクエアなボンネット、新しいヘッドライトが新型ローグをよりタフでスマートなものに見せている。17インチのアロイホイールを屈強なフェンダーの下に履き、丸みを帯びた先代のスタイリングとは一線を画している。

日産「ローグ」 2021年モデル

発売時には、エンジンは1種類のみが用意される。「アルティマ」と同じ2.5L自然吸気4気筒を搭載し、181馬力と245Nmのトルクを発生。ステップ制御されたCVTと組み合わされている。先代モデルより出力が10%、トルクが3%アップしたほか、燃費も0.4~0.8km/l改善されている。

米国ではハイブリッドモデルの登場は期待できないかもしれない。日産によると、先代モデルでは販売台数のうち90%が内燃機関車で、ハイブリッドは10%にも満たないという。もちろん公式発表は何もなく、日産は「常に代替パワートレインを検討している」としている。だが、電動のクロスオーバーが欲しいのであれば、間もなく発売されるEV「アリヤ」を待つべきだろう。

スポーツ性には欠けるが質感は高い

日産「ローグ」 2021年モデル

電動化への失望はさておき、搭載される2.5Lはしっかりとしたエンジンで、ローグにぴったりだ。パワーはスムーズにタイヤまで届き、CVTは先代で悩まされていたゴムのようなしなりがなくなった。普通のATと勘違いしてしまいそうになるほどだ。前輪駆動が標準で、AWDは1,400ドル(約14万円)のオプションとなっている。

新しいプラットフォームとシャシーを採用したことで剛性が向上したほか、リアのマルチリンクサスペンション(時代遅れのトレーリングアームに代わるもの)と新しいショックアブソーバーが乗り心地を大幅に向上させている。今回、日産はダブルピストンショックを採用し、2段階のダンピング調整を可能にした。もちろん、アダプティブサスペンションほどの柔軟性はないが、街中での乗り心地は良好で、路面が少し荒れている程度では不愉快な動きをすることもない。

日産「ローグ」 2021年モデル

スポーツモードに切り替えると、その魅力は減ってしまう。積極的に走ろうという意思は多少感じるものの、ノイズは大きくなり、決して快適というわけではない。加速は速くなるが、サスペンションやダンピングの変化はなく、率直に言ってクルマ自体が走りを楽しんでいるようには思えない。正直なところ、わたしも運転していて「楽しい」とは思わなかった。

それよりも、全体的な質感やデザインなど、飛躍的に進歩したものを楽しむ方がいいだろう。実際、新型ローグについて最も印象に残っているのは、先代よりもはるかにしっかりとした作りだ。ドアを閉めたときの音や、スイッチ類の指先の感触など細かい部分の作りが繊細で、乗る人の潜在意識に語り掛けてくるのだ。先代は少し安っぽく感じていたが、この新型はそれをはるかに凌駕している。

日産「ローグ」 2021年モデル

硬いプラスチックが使われていたダッシュボードは、ソフトな素材に変更された。先代も装備が不十分なわけではないが、特に快適でまとまりのあるものではなかった。新型でもっとも売れ筋と思われる「SV」グレードには、驚くべき数の追加装備が用意されているだけでなく、それらは後付け感がなく、デザインの一部として機能しているように感じられる。

日産の先進安全技術であるNissan Safety Shield 360が標準装備され、10個のエアバッグ、フロントとリアの自動ブレーキ(フロントには歩行者検知機能付き)、リアシートベルトにプリテンショナーとロードリミッターが備わっている。後部座席のスペースも広くなり、リアセンターシートには5点式ラッチを備え、リアドア自体も大きく開く。これにより、中央にチャイルドシートを取り付けて、上の子供が両サイドに座れるようになった。

装備は充実 使い勝手も大幅に向上

日産「ローグ」 2021年モデル

「プラチナ」グレードの価格は35,430ドル(約369万円)からとなっており、運転席にはデジタル(やや派手なグラフィックを採用)が装備されている。大型の9インチセンターディスプレイ、キルト加工されたセミアニリンレザーシート、Boseオーディオシステム、ヘッドアップディスプレイ、スマートフォンのワイヤレス充電器などを標準装備。

プラチナの下にあたる「SL」グレードは、レザーシート、パノラミックムーンルーフ、パワーテールゲート、トライゾーンHVACを備え32,000ドル(約339万円)から。27,340ドル(約289万円)の「SV」グレードは、360度カメラと最新のプロパイロットを装備。より長距離のレーダーが採用され、スムーズなブレーキングと迅速なレーン検知を実現し、他車が割り込んできた時の対応も改善されている。

日産「ローグ」 2021年モデル

プラチナまたはSLに1,320ドル(約14万円)のプレミアムパッケージを選択すると、Navi-link(ナビリンク)を追加できる。これはカーナビの位置情報を利用して、高速道路走行時にカーブや出口でクルーズコントロールが減速すべきタイミングを予測するものだ。また、プロパイロットの自動再起動のタイミングを3秒から30秒に延長したほか、途中で制限速度が変化した場合には自動的に設定速度が変更される。

個人的にSLに注目する最大の理由は、トランク内の気の利いたDivide-N-Hideシステムだ。2枚のパネルでトランクを仕切ることができ、買い物や装備品が転がってしまうのを防いだり、下の収納スペースを隠したりすることができる。先代のDivide-N-Hideよりスペース効率に優れ、1,033Lのトランク容量が確保されている。「S」とSVでは895Lだ。リアシートを倒すと2,098Lに拡大できる。

「S」は25,650ドル(271万円)のエントリーグレードだが、ドアポケットの拡大、センターコンソール内とその下の収納スペースの拡大、1ガロン(3.78L)のミルクを安全に直立して置けるように設計されたトランク内の収納ポケット、ヘッドクリアランスの拡大など、インテリアの使い勝手は向上した。

1列目と2列目の間にはUSB-Aポートが最大2つ、USB-Cポートが2つある。8インチのセンタータッチスクリーンのグラフィックは、先代の退屈なUIに比べて大幅に改善されている。Apple CarPlayとAndroid Autoも標準だ。

ライバルにはない魅力も十分にある

日産「ローグ」 2021年モデル

もちろん物足りない部分はある。Apple CarPlayとAndroid Autoにワイヤレスの接続機能はなく、前者はいずれ上位グレードに搭載されるだろうが、それもしばらく待たなければならない。また、リアシートにはヒーターが用意されたものの、フロントシートのベンチレーター(シートクーラー)は未だに選ぶことができない。ただ、わたしがこうして小言を言うのも、他に気に入った部分が多くあるからだ。

日産は、特に北米市場において、新型ローグがどれほど重要な存在であるかを理解している。日産のベストセラーであるだけでなく、今後20か月の間に10の新モデルを発表し、そのうちローグを含む6つの新モデルが2021年末までに登場するというスピーディーな展開を開始したのだ。しばらくの間、アイドリング状態にあったラインナップにとっては、大胆ながら必要な取り組みである。

日産「ローグ」 2021年モデル

プラグイン・ハイブリッドの不在はさておき、新型ローグは上手く再構築されている。価格は魅力的、外見は印象的、車内は実用的で、多くのライバル車が取り入れていないアクティブセーフティ技術を採用しており、先代モデルよりも大幅にアップグレードされている。日産がこの勢いを維持できれば、今後2年間は過去10年間の何よりも興味深いものになるだろう。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

コメント