ゴードン・マレーT.50 超軽量V12エンジンの詳細を公開

V12エンジンは最近では珍しくなってきており、「気筒数が多ければ多いほどいい」という考えはすでに過去のものです。しかし、ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)の最新スーパーカー「T.50」のパワートレインについては、平凡なものであるはずがありません。

マクラーレンF1の生みの親、自動車デザイナーのゴードン・マレー氏が率いるGMAの最新作は、昨年発表された3.9L V12エンジンを搭載するT.50。

そのスタイリングや空力特性、珍しいテクノロジーについてはこれまで部分的に公開されてきましたが、今回新しくエンジンの詳細が明らかになりました。

1気筒当たり約330cc 軽量小型V12エンジン

3.9Lという排気量は、スーパーカーの中では特に大きいわけではありません。マクラーレンF1ではBMW製6.1L V12エンジンを搭載していました。

ただ、比較的小型の3.9Lエンジンに12気筒を採用しているという事実は特筆に値します。コスワース製の自然吸気で、この種のエンジンとしては史上最高の回転数、最高の出力密度、最軽量を誇るといいます。

コスワース製 自然吸気3.9L V12 シリンダーバンクは65度

ゴードン・マレーのためにオーダーメイドされたこのエンジンは、他のどのクルマとも部品を共有せず、ミッドシップに搭載されています。

その上には2枚のガラスがあり、エンジンの存在感をアピール。ガラスはガルウィングのように上に開くことができ、V12を露出させます。

最大トルクは466Nm/9,000 rpm。エンジンはそこからさらに回転し、ピークパワーの654馬力は11,500rpmで発生。最高回転数は12,100 rpmに到達します。

高回転エンジンですが、当時に低回転域でのパフォーマンスにも重点が置かれています。例えば、トルクの71%は2,500rpmから得られます。

空力性能は飛行機並み

T.50には、クルマよりもジェット機でおなじみの技術が使われています。

6つのエアロモードを搭載しており、最も極端な「Vmaxモード」では、ラム・エア・インダクションを使用してパフォーマンスを向上させます。

コスワース製 自然吸気3.9L V12

同時に、48Vのスターター・ジェネレーターが追加ブーストを提供。合計出力は一時的に700馬力を超えます。

トランスミッションはATではなく、「Hパターン」の6速MTを採用しています。

Xtrac製のトランスミッションは特注品で、80kg以下という軽量を実現。エアロの邪魔にならないように、ハウジングには厚さ2.4mmのアルミ鋳造品を使用しています。

また、1~5速のレシオは加速性を高めるために近く設定されており、反対に6速は巡航性を高めるために高く設定されています。

マレー「自然吸気サウンドが好き」

3.9Lエンジンは自然吸気ですが、ターボを使わない理由の1つはサウンドです。

マレー氏自身が言うには、「ターボエンジンから素晴らしいサウンドを得ることはできない」とのこと。彼に同意できるかどうかは人それぞれでしょうが、T.50は彼の作品なので、ルールも彼が決めるのです。

サウンドを楽しむにはレッドゾーンを高くすることも大切ですが、T.50ではダイレクトパス・インダクション・サウンドシステムを採用し、V12サウンドを車内に取り入れています。

コスワース製 自然吸気3.9L V12

また、ドライバーの頭上にはエアインテークがあり、カーボン製のルーフをスピーカーとして使用することで、アクセルを踏めば踏むほど音が増幅されます。

サスペンションのウィッシュボーンはトランスミッションのケーシングに接続されており、ゴム製の台形リンクとスナバブッシュによって前後左右の動きが抑制されています。

エンジンの総重量はわずか177kg。F1にインスパイアされたエンジンであり、その期待に応えようとしています。

GMAによると、T.50は8月4日にデビューするとのこと。2022年から製造されるのは100台のみで、1台あたりの価格は200万ポンド(2億6000万円)以上ですが、すでに完売しているようです。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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