「Hummer」がEVとして復活:GMのEV戦略に追い風となるか

復活のHummer 2月のスーパーボウル期間中に発表か

米 General Motors (GM)社が、古典的な銘板ともいえるオフロード車「Hummer」を復活させます。電気自動車(EV)として生まれ変わった新しいHummerは、2月より開催されるスーパーボウルの期間中に発表されるようです。GMはEVのブランドを、今後の生存戦略における重要な部分であると認識していることから、Hummer復活の噂はしばらく前から流れていました。

HummerのEV化というアイデアには、いささか違和感を抱く人もいるかもしれません。米陸軍の使用する軍用車両から生まれたHummerは、ずんぐりした武骨な外観とともにその名が知られています。Ford MustangやChevrolet Corvetteと並ぶアメ車の代表格ともいえる存在ですが、経済性や環境面においては悪名高い車です。

アメ車の代表格といえるHummerだが、経済性の低さから2010年に生産停止に追い込まれた。

知名度を利用したGMのEV戦略

GMは2010年、世界的な景気後退とガソリン価格の上昇の影響が販売に波及したことで、この車の生産を停止しています。しかし、2019年半ばにHummerが完全EVモデルとして復活するかもしれないという噂が流れました。GMがミシガン州デトロイトに新工場を建設する計画もあり、憶測が飛び交いました。この工場はCadillacの新しいEVモデルの生産拠点になる可能性が高く、GMCとして販売されるEVピックアップの生産も予定されています。

同工場では2023年までに複数のEVピックアップが順次生産される予定で、Wall Street Journalの報道によると、そのうちの1台が「GMC Hummer EV」とみられます。少数生産になるとの見方もあり、今後の動向に注目が集まっています。売上に期待するというより、その高い知名度と話題性を利用して、EV戦略の看板とする狙いでしょう。

なお、 GMはHummerの名前を単独ブランドとして復活させるのではなく、GMCの傘下に置くようです。

EVモデルの展開を推し進めたいGM。Hummerはその「顔」として再起動するだろう。

熱戦が予想されるEVピックアップ

現時点では、Hummer EVがどのような仕様で登場するのかは不明です。

ただ、これまでのモデルを踏襲し、全輪駆動方式になることは確実と思われます。ライバルの自動車メーカーRivianがEVピックアップで採用したように、4基のモーターを搭載する可能性があります。ちなみに日本では無名のRivianですが、北米では期待値の高い新興メーカーで、独特のデザインを用いたSUVなど、複数のモデルを発表しています。Hummerは武骨なスタイルで対抗し、存在感を示そうとするでしょう。

主なターゲットはオフロードの愛好家と思われますが、Hummerのような「いかつい車」が大好きなユーザーも大勢いるでしょう。日本ではむしろ、山道ではなく都市部で見かける機会が多いかもしれませんね。

諸刃の剣? Hummerの名は市場に受け入れられるか

Hummerは強力な知名度があります。自動車メーカーが新しいEVモデルのために既存の名前を借りるというのは、珍しいことではありません。最近ではFordのMustang Mach-Eがその一例です。

ただ、ブランドのファンと一般ユーザーの両方を満足させるのは簡単ではありません。もともとのキャラクターが際立っているだけに、完全EVの最新モデルが「Hummer」として人々の納得を得るのは、厳しい挑戦といえるでしょう。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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