日本での発売はあるか。VWの大型SUV:新型「Atlas Cross Sport」価格発表

VolkswagenがクーペスタイルのSUVを北米投入

Volkswagen(以下、VW)は、2020年に販売を開始する「Atlas Cross Sport」の価格を発表しました。ベースとなっている「Atras」は、北米で販売されている7人乗りの大型SUV。中国でも「Teramont」の名で知られていますが、日本では未発売のモデルです。AtrasはVWのSUVでは最大サイズで、強力なライバルが多く存在するカテゴリーにあります。

最近の流れとして、大型SUVを流麗なクーペスタイルにリデザインしたモデルに人気が集まっています。その流れを汲み、AtrasをクーペスタイルにしたのがAtlas Cross Sportです。

ホイールベースはそのまま、リアとルーフを絞り込んだスタイリング。

ファミリーユースからスポーティー志向へ

2018年に発表されたこのモデルは、Atlasのプラットフォームをベースにしながらも、フロントからリアにかけてなだらかに下がるルーフラインを採用し、洗練された魅力的なボディを手に入れました。

ルーフが低くなった分、もともと備わっていた3列目のシートは外されています。2列目のシートを3人掛けにして5人乗り仕様となり、 その代わりに トランクスペースが大きく広がりました。通常時で約1140L、後部座席を倒すと約2200Lもの容量になります。トランクの容量を説明する際、ゴルフバッグやスーツケースが何個入るかで表すことがよくありますが、今回はかえって分かりづらいのでやめておきましょう。この車に積めないものは、別の運搬手段を考えるべきです。

どことなく懐の深そうな、アメ車らしい雰囲気がただよう。市場を意識したデザインだ。

クーペ風のデザインにあわせてサイズが少し絞られており、Atrasより全長が71mm短く、全高も58mm低くなりました。バンパー形状も変更され、スポーティーな印象を強めています。Atlasが主にファミリー向けの車であるのに対し、Cross Sportでは若者やスポーツ志向のユーザーを意識していることが伺えます。

3.6L V6 × 4Motion AWD

VWは、Cross Sport用にふたつのエンジンを用意しました。

  • 2.0L 4気筒  最高出力235hp/最大トルク350Nm
  • 3.6L V6  最高出力276hp/最大トルク360Nm

どちらも8速ATを標準装備しています。3.6LのV6は約2.2tの牽引能力を誇り、北米で人気のピックアップトラックと同等のパワーを持っています。日本ではなじみの薄い牽引ですが、北米ではトレーラーハウスやボートなどを引っ張っている車がよく見られます。大型SUVに求められる、重要な能力のひとつなのでしょう。

前輪駆動(FF)のイメージが強いVWだが、AWDシステム(全輪駆動)の歴史は意外と長い。

エンジンのほかに、駆動形式もふたつのパターンが用意されています。前輪駆動(FF)と、4Motion全輪駆動システムです。VWの4Motionは、電子制御により常に最適な駆動力を4輪に配分する最新のシステム。悪天候だけでなく高速走行、ワインディングなどさまざまなシチュエーションで安定した走行を実現します。

5つの基本グレードに、エンジンと駆動方式の組み合わせ

各グレードの価格と装備は以下の通り。価格は北米設定で、ドル表記を日本円に単純換算したものです。税金などは含みませんので、あくまで参考程度に。実際に日本で販売されるとなれば、150万円ほどの上乗せと考えれば妥当でしょうか。

Sグレード:約336万円
4Motion搭載モデルは約357万円となります。
18インチのアロイホイール、LEDヘッドライト、LEDテールランプ、オートワイパーなどを標準装備。シートは布製で、6.5インチのタッチスクリーンやUSB-Cポート×2を備えます。VWの新インフォテインメントシステム「MIB II」は「Android Auto」や「Apple Carplay」に対応。運転支援には、フロントアシストおよびブラインドスポットモニタが含まれます。

SEグレード:約370万円
4Motionモデルは約390万円から。
キーレスアクセス、ヒーテッドドアミラー、10ウェイの電動シート調整機能が追加されます。ヒーター付きのレザーシート(フロント)、デュアルゾーンのオートエアコンも備えています。ほか、USBポートが2列目のシートにも追加。タッチスクリーンは8インチに拡大し、SiriusXM、HD Radio、ボイスコントロール機能に対応。SiriusXMは、VWが新たに提供するサブスクリプションの配信サービスで、車内でオリジナルの映像・音楽チャンネルを楽しめます。

SE with Technology:2.0L 約395万円、3.6L 約410万円
約20万円追加で払うと、4Motionが選べます。
20インチホイール、リモートスタート(遠隔操作でエンジン始動)、115Vセカンドアウトレット、リアゲート(トランク)は電動式になります。パーキングセンサー、アダプティブクルーズコントロールを装備しています。

SELグレード: 2.0L 約 435万円、3.6L 約455万円
温水器付きウォッシャーノズル、ステアリングヒーター、車線維持アシスト、ライトアシスト、渋滞アシスト、道路標識認識機能が備わります。ほかにもメモリー付きの8ウェイ電動シート、デジタルコクピット、パノラマサンルーフなど、安全・快適装備が充実。3.6Lモデルには牽引パッケージも付いています。

SEL Premium: 2.0L 約 510万円、3.6L 約530万円
このグレードは4Motionが標準です。ヒーターとベンチレーターつきレザーシート、リアガラスのサンシェード、駐車アシスト機能、360度カメラが付きます。オーディオもFender Premium Audioシステムにアップグレードします。

開放的な大型パノラマサンルーフ。多くの車にとって、今や必須の人気装備だ。

なお、各モデルにはスポーティーグレードの「R-Line」(約15~18万円)を組み合わせることができます。ホイールはツートンカラーの21インチ(もしくは20インチ)になるほか、ブラックアクセントの効いたR-line専用バンパー、R-Lineロゴバッジ、ステンレス製ペダルが追加されます。

VWの狙いと、日本での発売は?

Atrasは北米市場のファミリー層を狙った7人乗り大型SUVでした。VWは今回新たに5人乗りのCross Sportを投入することで、市場での競争力をつけファン層の拡大を狙っています。2015年に発覚したディーゼルエンジンの不正問題がいまだに後を引いており、同社はイメージ回復に躍起になっている印象を受けます。ディーゼルエンジンの搭載を避け、あえて燃費の悪いV6ガソリンエンジンを選んだのも苦渋の決断でしょう。

VWは北米での復活の糸口を探っている。Atrasシリーズはその先駆けとなり得るだろうか。

Atlas Cross Sportの北米での販売は2020年第1四半期に始まります。今のところ日本展開の予定はありませんが、売れ行きが好調であればアジア市場にも販売が拡大されるでしょう(ただ、その場合は中国が先かもしれません)。

日本ではファミリーカーとして、ミニバンが強固な地盤を築いていますが、7人乗り大型SUVのラインナップも徐々に増えてきています。Atlas Cross Sportもきっと受け入れられるでしょう。むしろ私は、歓迎します。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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