サイバートラックの首を狙うニコラ バジャー、今月末に予約受付開始

テスラ サイバートラックのライバルとして注目を集めるニコラ バジャーが、6月29日に予約受付を開始することになりました。今年初めに発表されたこの電動ピックアップトラックは、最大600マイル(965km)の走行が可能だと謳われていますが、その半分はバッテリー、残り半分は水素燃料電池で駆動します。つまり、EV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)のハイブリッドともいえる異色のモデルです。

水素で走るクルマは決して新しいものではなく、トヨタやホンダ、ヒュンダイが燃料電池を搭載したモデルを販売しています。他にも複数のメーカーが開発に取り組んでいますが、一般的にEVよりも航続距離が長く、エネルギー源となる水素の補給も短時間でできるというメリットがあります。ただ、肝心の水素ステーションが少ないというデメリットがネックとなっています。

バジャーの美点はそこにあります。ニコラによると、バジャーは通常のEV向け充電器で充電することも、水素ステーションで約8kgの水素燃料タンクを補充することも可能だといいます。EVとFCVのいいところを組み合わせたクルマといえるでしょう。

電力源が何であるかに関わらず、性能に不足はありません。通常時の出力は455馬力、ブーストをかければ一時的に906馬力を発揮するとのこと。980ポンドフィート(約1,330Nm)という途方もないトルクを発揮し、8,000ポンド(約3.6t)もの牽引能力を誇ります。0-97km/hは2.9 秒。ピックアップトラックとは思えない加速力です。

ニコラ・モーターの創業者兼CEOのトレバー・ミルトン氏は8日、バジャーの予約受付を6月29日に開始すると同時に、同社の恒例イベント「ニコラワールド2020」の開催日を発表することを明らかにしました。このイベントでは、バジャーが初めて一般公開されるとのことです。

「ダミーのショー・トラックではなく、実物をお見せします」

ミルトン氏はライバルの名前こそ挙げなかったものの、イベントで公開される車両は単なるモックアップ(ダミー)ではないと主張しています。エアコンや全輪駆動など、量産モデルと同じようにシステムが作動するといいます。

また、価格について、オプションをどう選ぶかによって6万~9万ドル(647万円~971万円)になる見込みであると伝えています。販売はまず、米国とオーストラリアに注力するとのことです。

EV市場は現在、新興企業や大手自動車メーカーが多数参入しており、今後数年間で成長する分野になると予想されています。トラックなど商用車の電動化も進んでおり、なかでもテスラのサイバートラックは、その特徴的なスタイリング(およびガラスにヒビが入るトラブル)で有名になりました。米国ではリビアン、ボーリンガー・モーターズなどの企業が独自のアプローチで電動ピックアップトラックを開発していますが、水素燃料電池を利用するニコラも大きな注目を集めています。

フォードもF-150の電動化に取り組んでおり、ゼネラルモーターズも電動ピックアップを開発中であることが明らかになっています。燃料電池とEVバッテリーを組み合わせたニコラのアプローチは非常にユニークですが、水素の補給場所が少ないなどの課題は依然として残されています。バジャーの発売により、市場の勢力図がどのように変化していくのか目が離せません。

林 汰久也

愛知県在住 27歳。ハウスメーカーの営業を経て、IT企業のメディア事業に参画。記事制作ディレクターとして店舗紹介記事などの制作に携わる。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。

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