ガソリンスタンドにEV用充電器 ドイツ政府が設置を義務化

ドイツ政府は、内燃機関(エンジン)搭載車からEVへの転換を促すための取り組みの一環として、国内すべてのガソリンスタンドに充電スタンドを設置することを義務付けます。アンゲラ・メルケル首相によって発表された新しい景気刺激策では、法人・個人向けの減税や給付金、電気料金の引き下げのほか、環境に優しい交通手段の普及に焦点を当てています。

政府は公共の充電ステーションネットワークの整備を推進。具体的には、2030年までに100万台の充電スタンドを設置することを目標としています。ドイツ国内にあるすべてのガソリンスタンドは、充電ステーションの設置が義務付けられます。また、駐車場への設置も奨励。EV普及のネックとなっている航続距離の不安を解消する狙いです。

ほかにも、政府はEV、ハイブリッド車、水素燃料電池車の新車に対する現行の奨励金制度を拡大する計画も示しています。価格が4万ユーロ(約495万円)までのモデルが対象で、現在から2025年末までの間に、初めて登録したEVや後付けでEVに改造したクルマには、自動車税がかからないことになっています。

ガソリンスタンドをEV充電器の設置場所として利用するというアイデアは、今に始まったことではありません。しかし、EVの充電は、内燃機関車への燃料補給とは大きく異なります。内燃機関車の場合、ガソリンタンクを満タンにするのに平均5分程度かかるのが一般的です。しかし、EVの場合は、DC急速充電を利用しても5分で満充電することはできません。

例えば、アウディ e-tron を150kWの充電器に接続すると、10分で約87km分の充電が可能になります。一方、このような高速充電に対応していない車両では、30分で15km分程度しか充電できないでしょう。昨今では高出力の充電に対応した新型EVが増えてきていますが、それでもガソリンスタンドの充電スタンドで手短に充電できるわけではありません。

こうした充電時間などの疑問はいくつか残りますが、電動化を推し進めるドイツの姿勢に変わりはありません。政府によると、環境負荷の少ない商用車への新たな優遇措置を追加するほか、地方公共交通機関への助成金を2021年までに10億ユーロ(約1,238億円)に増額し、2025年からは倍増させる計画だといいます。2030年までには市内を走るバスの半分がEVになるとのこと。自動車産業の中心地ともいえるドイツのこうした動きが、自動車業界に与える影響は決して小さくないでしょう。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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