アマゾンの自動運転参入 自動車メーカーに真っ向勝負か

ジェフ・ベゾスの純資産は、新型コロナウィルス蔓延によって都市封鎖された世界で拡大したeコマース業界で、最大手Amazonの株価が同社史上最高となったのを受けて、先月5%跳ね上がった。

潤沢な資本を自動運転スタートアップに投入

同社は輸送業界に参入し、自動車メーカー、荷物配達会社、カーシェア会社と真っ向から競合することで、さらに自社の株価が高まり、市場での地位を強めようとしている。

この目標を達成するためには、独自の輸送エコシステムを構築し電気自動車(EV)、自動運転車(AV)のスタートアップに投資することになる。それによって アマゾンは、現在パートナーであるUPS社などとの競争力をつけるまで輸送・配送コストを下げることもできる。

コロナウィルスの爆発的に流行する以前に、自動運転自動車を制作する企業は、その実現に必要なテクノロジー開発のコストを低く見積もり過ぎていたために、すでに資金不足に陥っていた。アマゾンのように潤沢な資金を持つ会社は、EVやAVの実現が確実視されつつも継続に困難を来たしている企業に目をつけるだろう。

Zoox社の自動運転アプリの試験運転の画像。
Zoox提供。

事実、アマゾンはすでに自動運転テクノロジーのスタートアップであるZoox買収交渉を始めているし、それはオートメイション運転のオーロラ・イノヴェーション、ミシガンに本拠を置く電動トラックのリヴィアンなどのスタートアップへの莫大な投資へと続いていく。

現にアマゾンに加え、大手メーカーのフォードとコックス・オートモーティブから約3000億円に及ぶ投資を受けたリヴィアン社は、初のEVトラックとなる「R1T」を今年中に発売する予定で動いている。ただ、これらの計画はコロナウィルスのパンデミックで保留されているが。

AVの専門家の多くは、自動運転テクノロジーを、独自のロジスティックス・ネットワークを確立するためにアマゾンが力を入れる当然の方向と見ている。

モーガン・スタンレーによれば、それによって同社は、毎年約2兆円分の輸送コストを削減できるからだ。「明らかにアマゾンはテスラやGMのライバルへと変貌していて、USやFedExは同社と競争していくための対応策の選択をせまられるだろう」とモーガン・スタンレーは言う。

ライドシェアリングやウーバーにも挑戦

ロボタクシー市場をターゲットとしたまったく新しい自動運転車を開発するZoox社の買収は、アマゾンにとって、ライドシェアリングやUberやLyftなどの食品宅配業界との競争へと、扉を開くことにもなる。Zooxのテクノロジーの開発を進めれば、世界最大のオンライン通販会社はそのプライム会員に対して割安のライドシェアリングを供給することで、アマゾンは顧客を引き付け、より多くの会員を維持することも可能になるだろう。

アマゾンは、ドローンから陸上自動運転まで210以上の輸送関係の特許を持っている。アマゾン・プライム・エアは現在、ユーザーがオーダー(注文)すると30分以内にパッケージを空輸するというドローンを使った配達サービスを開発している。しかし、その「30分以内に配達の商品」の資格を得るために、商品が2.25kg以下でなければならないし、サイズもドローンが運べる位の大きさでなければならない。

今年1月にベゾス社長はアマゾン・プライム・エアによるサービスの年内導入の話はしたけど、NASAと共同開発をしているこの事業はいまだに実現されてない。こう見ていると、アマゾンも地上での事業はどんどん拡大しているが、空への発展にはまだ時間がかかりそうだ。

ピーター ライオン

1988年より日本を拠点に活動するモーター・ジャーナリスト。英語と日本語で書く氏 は、今まで(米)カー&ドライバー、(米)フォーブス、(日)フォーブス・ジャパン 、(英)オートカーなど数多い国内外の媒体に寄稿してきた。日本COTY選考委員。ワー ルド・カー・アワード会長。AJAJ会員。著作「サンキューハザードは世界の’愛’言葉 」(JAF出版、2014年)。2015から3年間、NHK国際放送の自動車番組「SAMURAI WHEELS」の司会を務める。スラッシュギアジャパンでは自動車関連の記事・編集を担当し、動 画コンテンツの制作に参画する

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