「バッグひとつで旅行する」と決めたら、まず考えるべきはバッグ選びでしょう。ホイール付きのスーツケースか、スマートにキャリー・オンで機内持ち込みか、それともバックパックか、悩みどころです。私はこれまでの経験から、バックパックを選ぶことが増えてきました。幸いここ2年ほどの間に、バックパック業界にはビッグ・ウェーブが来ています。
知名度の高いTumi(トゥミ)、Nomatic(ノマティック)、Wandrd(ワンダード)、Boundary Supply(バウンダリー ・サプライ)、それから小さなスタートアップ企業まで、あまりに選択肢が多すぎて疲れを感じて選べなくなっている人もいるかもしれません。
新興ブランドから
Boundary Supply(バウンダリー ・サプライ)は、Kickstarter(キックスターター)のクラウドファンディングでビジネスを立ち上げました。厳密にはまだスタートアップ企業の範疇ですが、最近のプロジェクト「Prima プリマ」と「Errant エラント」の2モデルは、どちらも資金目標の約1億円を軽く超える成功ぶりです。さらに、最新モデル「Arris アリス」はモジュラー・トラベル・パックということで、私はぐっと興味をそそられました。
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私は各地を飛び回るフリークエント・トラベラーですが、 パッキングニーズは 旅ごとに変わります。日帰りのときもあればフルウィークのときもあり、場合によっては、現地の気候に合わせて2種類の服を用意することも。 衣類だけでなく、予備のシューズ、カメラ、そしてテックギア全てがきちんと収まる容量が必要です。それから、フレキシブルで軽くて、超過酷なコンディションへの耐久性、一つのバッグにここまで求められるでしょうか。
「1つで全てを持ち運ぶのにベストなバッグは?」 という私の長年の探求に、どうやら「Arris アリス」トラベルシステムは、応えてくれそうです。
Arrisパック
まず、このモジュラーシステムのベースとなるのが、「Arrisパック」。35リットル容量ながら約1633グラムという軽さは、この容量・サイズカテゴリーで最軽量の部類です。サイズはおよそ、高さ55cm、横幅32cm、奥行き23cm(21.5x12.5x9インチ)。
他のバックパックと差が付くディテールを見てみます。個人的にはまず、イヤフォンや充電ケーブルなど、よく使うものをとりあえず放り込める、大きめのポケットがバッグの上方にあって欲しいのですが、もちろんArrisパックには付いています。メイン・コンパートメントにはサイドジッパーがあり、さっとカメラを取り出したり、エアーチケットやスナックなどへのクイックアクセスが可能。逆サイドにはウォーターボトル用ポケットがあります。メインジッパーを開くと、メイン・コンパートメントのラップトップやタブレットにアクセスできます。
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スーツケースとの併用も
私がもう少し長い旅程、しかも寒い地域へ行く場合には、どうしても厚手のジャケットや靴が増えるので、ポルシェデザインのハードスーツケース、ロチェスター22インチを持って行くことが多いです。その時に無くてはならないのが、スーツケース上部にしっかり固定できるアタッチメントシステム 。Arrisパックにはトップに1つ、サイドに2つ、計3つのパッドつき ベルト( ハンド ル )があり、これがスーツケースへの アタッチメントシステムも兼ねています。
このスーツケースの場合、ハンドルに通すのがギリギリでしたが、それでもこのようにきっちりセットできました。大抵のスーツケースのハンドルは問題なく通せると思います。バウンダリー・チームはこの点を把握しており、もっと幅広のハンドルにも対応できるよう、ベルト幅を改善する予定だそうです。
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耐水・防水素材
バックパックは構造もさることながら、使われる素材も大事なポイントです。急な雷雨にあって、中身が濡れるようでは困ります。400 TPU ナイロン素材は丈夫で軽く、さらに、LC1 フェイスコートが施され、耐水性があります。
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それだけでなく、100%防水にするため、裏側にも TPU ラミネート加工を施してあります。YKKジッパーは、TPUコーティングのナイロンテープでぴったりカバーされ、液体が染み込むのを防止、なおかつ強度に優れ、日々の摩耗や破損を防ぎます。
合計重量だけではない
私が普段バックパックを使用するときは、その時々で変わるにしても、だいたい13~18キロほどの重さになります。例えば最近では、HEXAD アクセス・ダッフル・バックパックに4日分の荷物を詰めて、15.8キロでした。日数分の衣類、モノポッドスタンド、オリンパス OM-D EM1 MkIII と各種レンズ、オークリーのパッカブル・トゥーフェース・ラップトップ・バッグ、その他こまごまとしたアクセサリー類です。これだけの重量を、首、肩、腰に乗せて歩き回るのですから、トータルの重さだけでなく、自分の体に負荷がどのように分配されるかにもかなり気を配るようになってきました。
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これに対するバウンダリー の答えは、サスペンション調節システムです。Arrisパックのバックパネルに使用されている軽量のモールド素材は期待できます。肩にかかってくる重量をサポートする、このバッグの最重要ポイントとも言えますが、下の方についているマジックテープで高さ調節が簡単にできるようになっています。
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バッグが大きく2つのセクションに開くのが、空港のセキュリティチェックで役立ちそうです。TSA プリチェックを利用していても、大抵ラップトップを引っ張り出す羽目になるので、こんな風に広げて通すことができれば、検査官にもさっとチェックしてもらえそうです。
開いて左側のパッド付きラップトップ用スリーブは、 簡易着脱マグネット・フックの付いた Nywool (ナイウール)の裏張りが傷を防止。Fieldspace 2.0用の磁気コネクタ、スリーブ拡張パネルという構成。右側は、衣類ほか大きめのものが入ります。上下に小ポケット、大ポケットが並びます。
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仕切りパネルを開ける画期的アイディア
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何より私が気に入ったのは、このコンパートメントの仕切りをガバッとめくれるところです。仕切りの上にあるツマミを持って(両サイド均一に力がかかるよう)下に向かってペリッとはがすようにするだけ。もう素晴らしい!としか言いようがありません。
これまで私が検証したバッグは、例外なくこの仕切り、つまりファスナーでの開閉に時間がとられました。結局、仕切りがあっても使わなくなり、たたみ込むか丸めこんでしまっていました。さらに、外側からこのエリアにさっとアクセスすることもできます。
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また、10リットルのウォータープルーフ・バッグが付属し、汚れものや靴をよけておくのに使えます。4つのトグルでArrisパックにしっかり留めることができ、中でガサガサと動かないのもポイント。また、バウンダリーは、その秀逸な磁気クリップに定評があり、この袋の開閉にもそれが生かされています。
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Arris のエコシステムとも呼ぶべきパック類
「Arris アリス」に興味をそそられたのは、そのモジューラビリティにもあります。他ブランドでもこういったモジュール追加ができたりしますが、付け外しに時間がかかったり、使われる素材によって最終的にかなり重たくなってしまうのがネックでした。
「ステイシス・スリング」
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中でも一押しは、「ステイシス・スリング」。フライト中も座席下にはバックパックを丸ごと置けないので、綿密なプランニングがいるところですが、ここに移動中や現地で使う細かいガジェットをひとまとめにしておけば、置き忘れも防げます。
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「リフト・パック」
カメラやレンズ一式をまとめるのに最適な「リフト・パック」は、Arrisパック上部に取りつけることができます。
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「テック・ケース」
あらゆるテックギアを8つのコンパートメントで整理できる「テック・ケース」。
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「Fieldspace 2.0」
最後に、iPad などのアイテムには「Fieldspace 2.0」が、磁気コネクタでArrisパックに安全に収納しておくのにぴったりです。
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総合的に、バウンダリー の「Arris アリス」とそのモジュラーシステムは、非常によく考えらています。素材を適材適所にあしらって防水性を高めたり、内部コンパートメントに拡張性を持たせたり、高いガジェットに傷がつかないようライニングがあったり、細かい配慮が随所に見られます。
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このシステムを本格的に検証する次の旅行をすでに予定していますので、帰ってきてからフル・レビューをお届けしたいと考えています。どうぞお楽しみに。
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