ロールス・ロイス初の電気自動車(EV)「Spectre(スペクター)」の新情報が次々と明らかになっています。年内に全貌が明らかになる予定の2ドアEVは、「魔法の絨毯」のような乗り心地を実現するため、現在も独特のカモフラージュをまとってテストを重ねています。
ロールス・ロイスはこれまで、クルマの重さには特にこだわってこなかったと言っていいでしょう。レザーやウッド、V12ガスエンジンを積めば、重くなるのは必然だからです。しかし、スペクターでは、バッテリーを含む全電気駆動系の重量への対応が必要となります。
重量増の対応として、ロールス・ロイスは新たに電子制御式ロールスタビライザーと統合された新しい「スマートサスペンションシステム」を開発。カメラなどのセンサーとナビゲーションシステムから得られる前方の路面に関するデータを利用して、アンチロールバーに予荷重をかけ、EVクーペを水平に保つことができるそうです。また、ダンパーを硬くし、4輪ステアリングを準備して、カーブでの精度を最大化しています。
一方、直線道路では、アンチロールバーを切り離すことができ、これにより、EVの各ホイールが独立して調整され、荒れた路面でも揺れを回避することができます。 スペクターは、Phantom(ファントム)やCullinan(カリナン)と同じプラットフォーム「Architecture of Luxury」を採用しています。このプラットフォームは将来的な電動化を念頭に置いて設計されていますが、実はこのEVは、そのプラットフォームに思わぬ形で改良を施しているのです。
最大のポイントは剛性で、バッテリーパックとその様々な保護機能をアーキテクチャに統合し、効果的に構造部品として使用することにより、これまでに比べて30%剛性が向上していると言われています。さらにロールス・ロイスは、既存のアルミニウムに加え、追加のスチールセクションを焼き入れ、これまでのどの車よりも長いリアヒンジ式のピラーレスコーチドアを実現しました。スペクターのドアは、全長が約1520mmになるとされています。
ロールス・ロイスは、2022年末までにオール・エレクトリック・モデルを発表すると約束していますが、現在、開発は40%ほど完了しており、2023年第4四半期の顧客納車に間に合わせるために、まだまだ懸命な努力を続けることでしょう。
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