SUVに対抗するスポーツワゴン、ジャガーXFスポーツブレイクに4WD登場

全世界でいくらSUVの人気が上昇しても、やはりワゴンに乗りたい人がいる。そう言うユーザーのために、ジャガーはXFスポーツブレークD180を用意した。昨年、最新仕様のD180ディーゼルターボ4WDモデルがラインアップに加わったので、試乗してみることにした。この中型高級ワゴンのセグメントはかなり競争が激しい。メルセデスベンツEクラス・ワゴン、BMW5シリーズ・ツーリング、アウディA6アバントとボルボV90などのライバルがあるけど、今回ジャガーはディーゼル4WDで参入するので、立場が強いと思われる。

ワインレッド色は渋いけど、シルエットは美しい

シルエットと引き締まったテールは美しい。
Photo by Peter Lyon

XFの第一印象は、ボディは全体的に綺麗な仕上がりだ。さすがジャガー。グリルやノースのデザインはセダンと同様だけど、ルーフが後ろまで伸びる姿はギュッと引き締まった感じで、シルエットが美しい。しかし、この外観コンビネーションは渋い。ボディカラーを「ロゼッロレッド」とジャガーと呼ぶけど、濃いワインレッドと伝えた方が分かりやすいと思う。僕なら、フランスの有名なワイン「ブルゴーニュ色」と表現したいけど、ジャガー車を作る英国人、フランス人は互いにかなりライバル意識が強いので、英国人はフランス語を使いたがらないだろう。

面白いことに、ジャガーはこの濃いワインレッドのボディカラーには、オプションとして、ホイール、グリル、テールゲートのフィニシャーなどをテカテカと艶のある黒色で塗りつぶす組み合わせになっているし、黒っぽいプライバシーガラスまで付いている。これらのオプションを合わせると、プラス40万円以上かかる。正直なところ、思い切り日光が当たらなければ、本当の色は出ないけど、このレッドとブラックのコンビは良く言えば「大人っぽい」、悪く言えば「ちょいワル・ヤンキー」という感じた。

コクピットでドラマが始まる

内装の質感はさすがジャガーだけど、インフォテインメントは多少遅れを感じる。
Photo by Peter Lyon

コクピットは品が良くて大人っぽい。「ライトオイスター」というクリーム色のシートカラーと、落ち着いたダッシュボードのデザインと素材から高級感が漂う。当然、XFセダンと同じインパネを使用しているので、内装の質感は高い。10インチのタッチスクリーンがセンターコンソールで目立つ。同スクリーンの画像や色は綺麗だけど、そのソフトウェアはメルセデスやアウディのシステムに比べると少し遅れを感じる

一方、エンジンをかけると、ドラマが始まる。円筒形のシフトレバーがビューンと迫り上がるし、コロンと回るエアコンの吹き出し口の動きが格好良い。ドライバーはまるでXFに歓迎されている気分になる。でも、一番びっくりしたのは、天井のシェードだ。ドライバーがセンターコンソールの上で左手でジェスチャーを振るだけでサンルーフのカバーの部分が自動的に開閉する。この機能は新鮮だった

左手でジェスチャーを振るだけで、サンルーフのカバーが開く。
Photo by Jaguar

やはり、このXFはワゴンだから、収納のキャパはすごい。後ろには565リッター分のラゲージスペースがあるし、ラゲージエリアの横に設置されたレバーを引っ張ると、40:20:40比率の後部席の背が倒れ、それによって、それまで以上のスペースができる。もちろん、元の位置に戻したい時は手動で操作が必要だけどね。この手のスポーツワゴンのラゲージエリアに重い荷物が入っていると、後輪にかなりの負担がかかるので、自動的に調整するセルフ・レベリング流のサスペンションが搭載されている。この技術のおかげで乗り心地は優れているし、コーナーでのリアの安定性はなかなか良い。

ディーゼルと4WDの追加でXFはライバル・ドイツ勢に並ぶ

2.0リッターのディーゼルターボは最高出力180PSで、430Nmの最大トルクを1750~2500rpmという低回転域で発揮させる。パッと踏んだ時の加速性は力強いけど、回転が上がると、ブオーとキャビンに微かに聞こえてくるディーゼルの音がするのは仕方がない。やはり、ディーゼルを選ぶユーザーは、当然その低中速の力あるトルク感と優れた15km/Lの燃費性を重視している訳だ。車重は重めの1880kgもあるけど、この2Lのディーゼルターボは決してパワー不足ではない。市街地では充分なパンチもあるし、高速道路での合流や高速クルージングは文句なし。100km/hの走行では、ディーゼルであることを忘れるほど、エンジンが静かだし、全体的な静粛性が良い。

クリーム色のインテリアから高級感が漂う。
Photo by Peter Lyon

ジャガーは4000回転でエンジンの最高出力が出ると言うかもしれないけど、実際には3000回転あたりが美味しいゾーンと言える。スムーズでシフトショックを感じさせない8速ATが、走りを上品にしてくれる。今回のXFスポーツブレイクの1つのハイライトは、オプションとして付く4WDの機能。ステアリングが少し重めではあるけど、自然な動きをする4WDであることを感じさせない。普段、後輪で走行する4WDでは、濡れた路面やコーナーで後輪がスリップを感知したら、前輪にトルクを送り、安定性を保つ。XFではレーンキープアシスト機能やACCというアダプティブ・クルーズコントロールなど、高速道路で重宝するドライバーアシスト機能が標準装備される。

ラゲージスペーずは565Lと広くて、使い勝手がいい。
Photo by Jaguar

さて、ライバルと比べてどうなのか。まずはスタイリングでは、このXFスポーツブレイクは一番美しいと言えるだろう。内装の質感やデザイン性はどのライバルに負けないけど、インフォテインメントのソフトウェアや操作の仕方、それにエンジンの性能はメルセデスやアウディに多少遅れを取っているのが残念。でも、今回トルクフルなディーゼルターボと4WDの組み合わせがついたので、性能的には並んだ。さらに走りでもついにドイツ勢、いやBMWと並んだと感じた。オプションを付ける前の766万円という価格もドイツ勢と良い勝負なので、今回のXFはついにメインプレイヤーに浮上したと言える。

ここは良い

*スタイリングはそのセグメントでは一番美しい。

*新しく追加されたディーゼルと4WDはとても効果的。

*走りや乗り心地は良い。

ここはもう少し

*インフォテインメントはやや遅れている。

*ディーゼルは低回転では少しうるさい。

ピーター ライオン

1988年より日本を拠点に活動するモーター・ジャーナリスト。英語と日本語で書く氏 は、今まで(米)カー&ドライバー、(米)フォーブス、(日)フォーブス・ジャパン 、(英)オートカーなど数多い国内外の媒体に寄稿してきた。日本COTY選考委員。ワー ルド・カー・アワード会長。AJAJ会員。著作「サンキューハザードは世界の’愛’言葉 」(JAF出版、2014年)。2015から3年間、NHK国際放送の自動車番組「SAMURAI WHEELS」の司会を務める。スラッシュギアジャパンでは自動車関連の記事・編集を担当し、動 画コンテンツの制作に参画する

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