非スカンジナビア的EVの魅力:Polestar「Precept」の詳細発表

「Precept(プリセプト)」の発表は、北欧スウェーデンのEVブランドPolestar(ポールスター)にとって、ジュネーブ・モーターショーでの一大イベントとなるはずでした。ただ、ショーが中止となってもなお、その均整のとれたコンセプトカーがスポットライトを浴びることに何ら異論は生じません。ラグジュアリー4ドアGTのPreceptは、将来のヴィジョンを印象的に表現したものだとPolestarは語っています。そして、その言葉が何を意味するのか、詳細が明らかになりました。

まず、Polestarの市販モデルのラインアップに注目しましょう。最初に登場したのは、ハイブリッドのグランドツアラークーペ「Polestar 1」で、Volvoのコンセプトから誕生しました。さらにPolestarは、中国で生産を開始したばかりの、より手頃な価格のファストバックEVである「Polestar 2」で、スウェーデンの従兄との差をさらに広げました。

次の製品は、ブランド初のSUVである「Polestar 3」です。しかし今後は、Polestar Preceptのスタイリング以外の要素も、ラインアップに含まれていくことが期待されています。つまるところ、ここには持続可能性(サステナビリティ)に関する強いメッセージが込められているのです。

他の自動車メーカーも、再生プラスチックからシート表皮の「ビーガンレザー」に至るまで、環境に優しい素材を採用しています。しかし、Preceptの真のコンセプトは愚直なまでの率直さにあります。Polestarは、伝統的な高級素材(ウッド、レザー、金属)で車を覆い、環境に優しい素材を隠すのではなく、前面に押し出しています。

プラスチックの代わりに亜麻ベースの天然複合素材と、パートナー企業のBcomp社が開発した「powerRibs(パワーリブ)」技術を採用しています。この技術は、軽量化を図りながら構造強度を高めるために葉脈のようなリブを使用したものです。ペットボトルをリサイクルした3Dニット生地は、使用する糸を1本にすることで無駄や削りカスをなくしました。フロアマットは古い漁網から回収されたナイロン6でできており、シートボルスターとヘッドレストのビニールはワインボトルのコルクをリサイクルしたものを使用しています。

こうしてすべてを区別するのは、これらがいかに目に見えるかということです。Polestarは、内装の印象的な素材をバックライトで照らすことで、環境に配慮していることをアピールしています。同様に、外観からも、Preceptの率直な美学を見ることができます。

確かに、22インチの大経ホイールや、トールハンマー型のヘッドライト(Polestarの市販モデルにも採用すると思われる、上下に2分割された特徴的なデザイン)、Polestar 1のものを彷彿とさせる魅力的なリアのライト形状など、独特のスタイリングには思わず目を奪われてしまいます。しかし、多くの自動車メーカーが隠そうとしている技術的な装備が、堂々と配置されている点には注目です。ルーフに取り付けられたLIDAR、グリル部分に埋め込まれたレーダーと超音波センサー、そしてSmartZonesセンサーハブ。全体的なデザインを阻害することなく、かといって執拗に隠すこともなく、ごく自然なレイアウトと言えます。

ハイテクを目指すのであれば、その決断に断固として自信を持つべきではないか。そんなメッセージのようにも受け取れます。Preceptは、デザイン部門のトップであるMaximilian Missoni(マクシミリアン・ミッソーニ)氏 ―元Volvoデザイナー― からは想像できないような、スカンジナビア的な抑制とは一線を画し、フォルムと機能美を追求しています。グロスからマットまで、クロームをほとんど使用せずに溶け込むような質感は、スタイリングと同じくらい重要な要素です。

リアのヒンジドアはコンセプトに合っていますし、PreceptがSUVではなく、スマートなファストバッククーペであるという事実そのものも同様です。それにしても、Android Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)を搭載した新しいインテリアを見せてくれたのは嬉しい限りです。

今年のPolestar 2でローンチされる最初のバージョンのOSをベースに、Preceptのダッシュボードは15インチのタッチスクリーンで構成されています。このタッチスクリーンは、Polestarのデジタルキーが近づくと目を覚まし、近接センサーを使ってユーザーの手の位置に応じて画面上の表示を調整します。9インチの横長インストゥルメントディスプレイのアイトラッキングは、ドライバーの目線の動きを捉え、前方の道路に注意を払っているときには表示される情報を減らし、画面を見ているときだけ詳細を表示するようになっています。

もちろん、Google MapsもGoogle Assistantも搭載されています。しかし、今回はナビゲーションと先進運転支援システム(ADAS)を組み合わせたことで、より正確な交通状況などに基づいた運転ができるようになりました。

「私はいつも多くの人に “Polestarの未来はどうなるのか” と聞かれます」

Polestar CEOのThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラス)氏は語ります。

「もちろん、私たちの将来の市販モデルを見せたわけではありませんが、Preceptは私たちが向かっている方向を示すものです。デザインの方向性、持続可能性に対する野心、そしてそれらの将来の車にもたらすであろう素晴らしいデジタルユーザーエクスペリエンスなど。Preceptは、空想や夢、SF映画のようなものではなく、私たちの未来を示しています。これが私たちの、来るべき現実なのです

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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