2020年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー:大賞にKia、デザイン部門にマツダ

2020年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(2020 World Car of the Year)を主催するワールド・カー・アワード(World Car Awards)は、コロナウイルスによる課題こそあれど、大賞および各部門の受賞車を発表しました。選考は、2019年のフランクフルト・モーターショーで候補車が発表されたところから始まります。次に、11月のロサンゼルス・モーターショーの前にテスト走行が行われ、各審査員にノミネートされたすべての車を運転する機会が与えられました。審査員の1人、Vincent Nguyen氏は米SlashGearのチーフエディターでもあります。彼の意見を交えながら、各部門の受賞車を見ていきましょう。

2020年のWorld Car Awardsでは、

  • 「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(World Car of the Year)」
  • 「ワールド・ラグジュアリー・カー(World Luxury Car)」
  • 「ワールド・パフォーマンス・カー(World Performance Car)」
  • 「ワールド・アーバン・カー(World Urban Car)」
  • 「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー(World Car Design of the Year)」
  • 「ワールド・グリーン・カー(World Green Car)」

の各カテゴリーで86名の審査員によって選ばれました。受賞は自動車メーカーにとっては非常に重要なことであり、消費者が購入を検討する際に強力なアピールとなります。

世界中から集まった86名の審査員により選考が行われた。日本からもピーター・ライオン氏を含む8名が参加している。

コロナウイルスが野火のように世界中に広がったことで、2020年ジュネーブ・モーターショーは中止され、受賞車が発表されるはずだった2020年ニューヨーク・モーターショーも中止となりました。そのため、会議や学校の授業などと同じように、ワールド・カー・アワードの発表はオンラインで行われました。

前置きはこれくらいにして、2020年のワールド・カー・アワードの各部門の最終選考に残ったトップスリーも含めて、受賞車を紹介しましょう。

2020年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(大賞):Kia「Telluride」

大賞であるワールド・カー・オブ・ザ・イヤーの上位3車種には、Kia(起亜)「Telluride(テルライド)」、マツダ「CX-30」および「マツダ3」が選ばれ、最終的にTellurideが栄光に輝きました。この素晴らしいSUVに勝るものはありません。

Vincent Nguyenも、Tellurideの広さ、快適さ、実用性を高く評価しています。最も重要なポイントは、ドライビングダイナミクスです。まるで、Kiaのスポーツセダン「Stinger(スティンガー)」を運転する時と同じような楽しみがTellurideに取り入れられているかのようです。

このハンサムで頑丈なスタイルのSUVは、いくら払えば手に入るのでしょうか? 2020年モデル「Telluride SX V6 AWD」はわずか46,860ドル(約507万円)で、さらに低価格の「LX」グレードは31,890ドル(約345万円)から購入できます。その驚くべきコストパフォーマンスを考えても、Kia Tellurideは2020年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーにふさわしいと確信できます。

マツダ3は十分に良い車であり、受賞に値するといっても過言ではありません。しかし、審査員のVincent曰く、マツダが「アクセラ」を全く新しい車へ作り変えるため、ホンダの先例に倣っていると感じざるを得ないとのこと。マツダ3はスポーティなコンパクトカーではなく、小さな高級車のように作られたのです。なぜマツダが、独立式リアサスペンションを捨て、古代のトーションビーム構造を採用したのか、いまだに不思議に思う審査員もいるようです。もちろん、新型マツダ3は先代よりも明らかに静かで滑らかに走る、上質なコンパクトカーであることは間違いありません。その反面、「zoom, zoom(ズーム、ズーム)」の操作感は弱まってしまいました。

CX-30は、基本的にはマツダ3のクロスオーバーモデルです。大賞の候補にマツダから2車種が挙がったことは、とても喜ばしいでしょう。ただ残念ながら、審査員の多くはKiaのSUVに目を奪われてしまったようです。

ワールド・アーバン・カー:Kia「Soul EV」

ワールド・アーバン・カー部門の上位3車種には、Kia「Soul EV(ソウルEV)」、Mini「Electric(エレクトリック)」、Volkswagen「T-Cross(T-クロス)」が挙げられました。

面白いことに、Kia Soul EVとMini Cooper SE Electricは、同カテゴリーで唯一の完全EV(電気自動車)であり、Vincent率いる米SlashGearのチームも最有力候補として2台を挙げていました。KiaとMiniの一騎打ちになるものと見られていましたが、VWのT-Crossも賞品を持ち帰るために健闘したようです。

米SlashGearとdlmagの共同設立者・編集長のVincent Nguyen氏は、審査員の1人として選考に参加した。(背後にあるのはMINI Electric)

結果はまたしてもKiaの勝利です。Soul EVは、バッテリーの大型化、航続距離の延長、高級感のある走りでワールド・アーバン・カーを受賞しました。残念ながら、Soul EVが日本で発売される可能性は不明(限りなく低い)です。米国では今年後半に発売される予定でしたが、それもCOVID-19の影響で不透明な状況です。昨今、韓国車に対する世界的な評価が高まりつつあり、日本でも注目する人が増え始めているように感じます。今回の受賞が韓国車メーカーにとって大きな後押しとなることは間違いないでしょう。

ワールド・ラグジュアリー・カー:Porsche「Taycan」

ワールド・ラグジュアリー・カー部門の上位3車種には、Mercedes-Benz「EQC」、Porsche「911」、Porsche「Taycan(タイカン)」がランクイン。

Porsche 911は言うまでもなく、真のスポーツカーです。一方、Mercedes-Benz EQCとPorsche Taycanは、新時代を切り拓くイノベーターと言えるでしょう。Vincentのチームは、EQC(電動SUV)とTaycan(Porsche初の電動4ドア・パフォーマンスカー)のどちらを選ぶか、という点に焦点を当てていたようです。

結果として、Taycanがワールド・ラグジュアリー・カーを受賞しました。驚くべきことに、Taycanは別の部門でもう1つ賞を獲得しています、

ワールド・パフォーマンス・カー:Porsche「Taycan」

ワールド・パフォーマンス・カー部門の上位3車種はPorscheが占めていました。Porsche「718Spyder/Cayman GT4」、「911 Carrera 4S」、そしてTaycan。この3車種から1台を選ぶのは、Vincentにとって最も難しい作業の1つだったといいます。

世界の名門Porscheは素晴らしいパフォーマンスカーを揃え、表彰台を独占しました。Vincentは最初、Taycanの他にAudi「RS6 Avant」、BMW「M8 Coupe」などを候補に挙げていました。Cayman GT4と718 Spyderはどちらも素晴らしい車ですが、審査員はアイコニックな911と完全EVのTaycanを競わせるという難題に直面しました。

上位3車種の中で、Vincentの票はPorsche Taycanに入れられました。4ドアかつロングホイールベースのセダンですが、パフォーマンスとハンドリングに関しては、その心臓と魂はまさしく911です。ワールド・パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーにふさわしい1台でしょう。

ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー:「マツダ3」

マツダ3がこの部門でトップスリーに入ったことに、Vincentは驚きを隠せなかったといいます。Porsche TaycanやPeugeot「208」を抜いてマツダ3がワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞したことで、彼が少数派となったことは明らかです。

進化を続けるマツダの“魂動デザイン”は、あやふやなクォーター・パネルの形状に対するVincentの疑問こそあれど、世界的な評価を獲得するに至りました。Porsche Taycanはデザイン部門での受賞は逃したものの、2冠という快挙を達成しました。Peugeot「208」も、その素晴らしいスタイリングには注目が集まっています。

以下、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーに対するVincentのコメントです。

「2020年ワールド・カー・アワードの審査員と委員会を代表して、各部門の受賞車に敬意を表します。甘く見えるかもしれませんが、2020年の審査員としての私の義務は終わりました。しかし、ウイルスに関係なく、私の車への愛は決して衰えることはありません」

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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