ワーゲンバスがEVとなって復活!VW「e-Bulli」はクラシックと未来の融合

年代物のVolks Wagen「Type2」、いわゆる“ワーゲンバス”ほど世界中の車好きを夢中にさせるモデルはないのかもしれません。ここで掲載している画像には、VWがeClassics社とタッグを組んで制作したコンセプトカー「e-Bulli」(Bulliは欧州での愛称)が写っています。ベースとなっているのは、ドイツのハノーバーで生産された1966年モデルのT1 Samba Bus。そして今、VWとeClassics社により、このビンテージなワーゲンバスには全く新しい電動パワートレインが搭載されています。

そのプロセスは、古めかしい(愛おしい)4気筒ボクサーエンジンを新しい電気モーターに交換することから始まります。オリジナルのガソリンエンジンが44馬力しか出せなかったのに対し、e-Bulliの新しい電動ユニットは88馬力と、ほぼ2倍のパワーを発揮します。

外観だけを見ると、「状態のいいワーゲンバス」にしか見えない。ただ、背景の発電施設からなんとなく「察する」ことはできるだろう。

後輪を駆動するパワーが増えたことで、最高速度は時速80マイル(約130km/h)に達します。初代のType2の最高速度は時速65マイル(約105km/h)でしたから、約25km/hの向上です。正直なところ、この車はスピードを出して楽しむようなものではないと思うのですが、高速道路でもコンパクトカーを羨ましく思うようなことはないでしょう。

この電気モーターには45kWhのバッテリーパックが組み合わされており、推定航続距離は125マイル(約200km)。また、交流充電と直流充電の両方に対応しているため、50kWhのDC高速充電器を使用して、空の状態から80%まで40分で充電することもできます。VW e-Bulliは長距離ドライブ用ではありませんが、食料品の買い物や子供の送り迎えには十分な広さがあります(何よりかわいらしさがあります)。

内外装デザインの変更は最小限だが、中身は大きく変わっている。足回りの改良により乗り心地も改善された。

しかし、それだけではありません。VWとeClassics社は、このType2を近代化するために全力を尽くしました。車体のデザインを改め(最小限)、フロントとリアのサスペンションをマルチリンクに変更。また、新しいラック&ピニオン式ステアリングシステムに加えて、コイルオーバーストラットとアジャスタブルダンパーも装備されています。eClassics社はまた、4輪すべてにディスクブレーキを採用することで、制動力も強化しています(オリジナルはドラムブレーキ)。

シャーシにも改良を施したほか、新しいサスペンションシステム、低重心(重いバッテリーパックを床に配置)により、VW e-Bulliはオリジナルモデルよりもシャープなハンドリングを持ったミニバンになると予想されます。ビンテージボディをベースにしているにもかかわらず、VWとeClassics社はLEDヘッドライトやデイライト、バッテリー充電状態のインジケーター、そしてEVならではのモダンなギアセレクターも導入しています。

センターコンソールのシフトノブと、頭上のタブレットに注目。個人的にはシフトノブに若干違和感を感じるが、全体的な雰囲気はとてもいい。

インテリアでは、クラシックなスピードメーター、ビンテージな見た目のステレオシステム、本物の木を使った無垢のフローリングが特徴的です。目の肥えた読者なら、フロントガラスの上の天井にタブレットがきちんと取り付けられていることにも気付くでしょう。古いものと新しいものが見事にミックスされていて、非常にわくわくさせてくれる車です。

e-Bulliは、昨年夏に発表された「VW Type20」コンセプトほど先進的なものではありませんが、より現実的でしっくりきます。Volkswagenとe-Classics社によると、1台限りのワンオフモデルではなく、7万ドル(約750万円)から販売する計画です。e-BulliのコンセプトはTechno Classica2020で公開される予定でしたが、例によって感染症を防ぐためにイベントが中止されてしまいました。ただ、このワーゲンバスと並んで、Beetle(ビートル)のEVモデルも販売されることが決まっています。

それにしても、電気自動車の未来はどうなっていくのでしょうか。さまざまな想像が膨らむ車です。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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