Hyundai(ヒュンダイ/現代自動車)が「Ultimate Automotive Form(究極の自動車フォーム)」と呼ぶ独自の美学を取り入れた電気自動車のコンセプトカー「Prophecy」を発表しました。コロナウイルスの影響により中止となったジュネーブ・モーターショー2020に向けて作られたEVセダンです。ロングでスマートなボディ、いくぶん不気味な雰囲気も漂うスタイルで、Hyundaiの最新デザインコンセプトを物語る電気自動車です。
Hyundaiが掲げている「Sensuous Sportiness(官能的なスポーツ)」というデザインコンセプトにより、Prophecyは近未来的なスタイリングにたどり着きました。その思想にあるのは、空気力学的な滑らかさを重視した設計で、車内空間を最大限に活用しながら空気抵抗を減らすことに重点を置いています。
そのため、それぞれの車輪がボディの隅に配置され、十分なホイールベースを確保しています。Hyundaiは、風雨にさらされて丸みを帯びた「風化した石」のような自然なフォルムを目指したとのこと。リアのクオーターパネルにウィングを備え、デザインに動きを加えています。リアウィングはボディの揚力を抑えますが、プロペラ形状のホイールも、空気の流れを整えてボディ側面に流す働きがあります。
Hyundaiは、ボディが突出して空気の流れを乱すのを防ぐ目的もあわせて、スポイラー、ヘッドランプ、カメラ監視システムなどに透明なアクリルを使用しています。これはProphecyの「機能美」を高める、とデザイナーはいいます。昨年発表された「45 EV Concept」では、ヘッドランプ、ブレーキランプ、スポイラーに使われたピクセルランプ技術を採用。 デジタルな印象を強めています。Hyundaiによると、これらのピクセルランプは、Prophecyのデザインの代表的な要素であるとのこと。
ほかに注目すべき点は、ウール素材のフェルトカーペットなどの変わった素材を使った車内空間です。
Prophecyにはステアリングが備わりませんが、物理的な運転装置がまったくないわけではありません。このEVを操縦するために採用されたのは、2本のジョイスティック (センターコンソールに1本、ドアに1本)でした。 このジョイスティックには複数のコントロールスイッチが備わっています。
また、前方視界を広げ、車幅いっぱいに広がったディスプレイを搭載。ダッシュボードもスリム化しています。空気清浄機能を備えており、車内に取り込む空気だけでなく、車外に排出される空気も処理します。
昨年末に発表された燃料電池トラック「HDC-6 Neptune」のコンセプトと同じように、Prophecyのインテリアデザインがすぐに量産車に採用されることはなさそうです。しかし、Prophecyのエクステリアからは、電気自動車に関するHyundaiの構想の欠片が見て取れます。もし発売されれば、4ドアセダンでありながらクーペのようなスタイリング、デジタルなピクセルランプなど、独特なデザインに高い注目が集まりそうです。
コメントを残す