どのEVが一番「買い」なのか? 今、旬のEV5車種

数年前までは、市販の電気自動車(EV)の種類は少なかったし、コストは高く、平均的な航続距離や充電のインフラが、市場が納得するところまでできていなかった。でも、2020年にもなって、我々ユーザーはEVの進歩はもう無視できなくなった。10年前に日産リーフが世界初の大量生産のEVとして登場してから、次のEVが出るまで少しブランクはあったものの、ここ2年の間に、ジャガー、アウディ、メルセデス、ポルシェ、BMWなど続々と市場に現れてきている。また、昨年、EVの概念を変えたテスラの手頃なモデル3もついに日本に上陸したし、年内にはマツダやホンダからもEVが出ることになっている。

電欠が怖いと言えなくなる

バッテリーの技術もだんだんと進歩してきているので、今はどのEVでも、300km以上の航続距離が可能になって、日本国内の充電ステーションは4万カ所以上と、ガソリンスタンドの数より多い。だから、「電欠が怖い」とか「価格は高い」とか「インフラができてない」と言えなくなった今、EVに乗り換えてもいいのかな、と考えている人のために、一番旬なEVを5台集めて比較してみた。

価格帯とボディ・スタイルはかなり違うけどね。もちろん、472万円から1100万円までと価格はかなりバラ付きはあるし、5台の中にSUVもあれば、ハッチバックもセダンもある。と言うことは、このレポートは比較テストではなく、つまり、「あなたのニーズと理想にあったプライスのEVはどれか」の判断材料にしてほしい。

正直に言うと、EVの走りはとても楽しいけど、少し慣れが必要だ。ここで触れてたいのは、どのEV車でも「ワンペダル」で運転できる、ということ。アクセルを踏めば加速し、緩めれば、回生ブレーキの影響で減速する。だから、ペダル操作さえ慣れてしまえば、右足だけで概ね運転できる。

もう1つ慣れなければならないところは、瞬間的な発進の仕方だ。電気自動車はガソリン車とは違って、アクセルに全然遊びがないので、ガソリン車より出だしが速い。そんなEVの操作には、少し慣れが要る。

最近、一番旬なEVを5台見てみよう

さて、今日本で一番「旬」なEVを5台集めて、それらの性能、航続距離、走り、価格などの比較をしてみた。その5台とは:

アウディetron, ジャガー I-Pace, テスラ・モデル3 パフォーマンス仕様, 日産リーフe+, メルセデスベンツEQC 400

アウディ

まず、アウディetronを見てみよう。この高級SUVのデザインは5台の中で2番目に美しいと思う。内装もさりげない品があってシックな雰囲気だ。ただ、全く新しく搭載されたデジタルドアミラー(後ろの映像が映る)は実はドアの内側に配置されているので、これも慣れが必要だ。

0から100km/hまでの加速は5.7秒とは、2.4トンのSUVにしてはかなり速い。2モーターから発生される408psの出力は、4WDのパワートレーンを通じて路面に伝達するので、トラクションは優れている。乗り心地もメルセデスEQCとほぼ同様のフィーリングで、5台の中で最もしなやかで高級感があると言える。

この車両だけはまだ発売開始になっていないので、価格が決まっていないけど、おそらく1000万円を少し超えるはず。メーカーの話によると、航続距離は400km出るそうだけど、リアルワールドでは、およそ330km(英CARWOW調べ)ほどの記録がでた。

ジャガー

次は、昨年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤー賞を獲得したジャガー I-Paceをチェックしよう。etronよりさらに美しいI-Paceの外観は、型破りのデザインではないか。大きなガソリンエンジンを積まないで済むから、今までとは全然違うショートオーバーハングのデザインができたし、フロアもフラットだからレッグルームは抜群。

電気モーターは2つ付いており、4WDのパワートレーンが400psを発揮する。0−100km/hは4.8秒と十分に速い。ステアリングはシャープで手応えがあるし、コーナリング性能はテスラの次ぐらいに優れていると言えるだろう。

価格は1162万円。高級感は十分あって、センターコンソールには大きな画面が2枚あるけど、ただ、インフォテーンメントは少し鈍いし、使い方は慣れが必要だ。ジャガーによると、航続距離は483kmあるというけど、実際には358kmが出た。

テスラ

テスラは8年前からモデルSは出しているけど、昨年日本に上陸したモデル3は同社が今まで作った中で一番質感が高いし、価格が手頃。511万円の後輪駆動のエントリーレベルからスタートするラインアップは、4WDの717万円のフラッグシップで終わる。後者は今回の5台では、ダントツに速い加速性で、0−100km/hはなんと3.4秒。ハンドリングもピカイチで、この5台の中でコーナリングは一番シャープ。

電気自動車と言うと当然、モーター、バッテリー、インバーターなどが車体の低い位置に置いているので、低重心のおかげでコーナーではロールしない。モデル3の地上高は特に低いので、ハンドリングはスーパーカー並みといっても過言ではないだろう。

モデル3の室内は最も未来的でスパルタンになっている。運転席に座るだけで、2025年にタイムスリップしたような気分。インパネにはスイッチ類はなく、ダッシュボードの真ん中にiPadより大きな大画面が一枚あるだけ。航続距離は530kmとテスラはいうけど、実際には430kmぐらい走れる。

日産

2011年には、リーフは大量生産の電気自動車の開拓者だったけど、登場した当時の航続距離は130kmほどだった。最新のリーフe+仕様は458kmも出ると日産は語るけど、リアルでは334km強。でも、それは初代の2.5倍ぐらいだから大きな進歩と言える。ただ、航続距離は伸びたけど、価格も472万円に伸びた。

218psを発生するモーターは前輪を駆動させる。日産はこの最新仕様の「eペダル」というアクセルを適度に調整したので、急加速・急ブレーキの際にもあまりピッチングをしなくなって安定性が向上した。7.5秒の0−100km/hという加速は、5台中で一番遅いながら、リーフは一番手頃。

メルセデスベンツ

最後にメルセデスEQCを見てみよう。この5台の中では、最もゴージャスで乗り心地が良くて、しかもインフォテーンメントが最高に使いやすい。ただ、このクルマの作りはEV専用プラットフォームではなく、現行型のGLCのSUV車体を採用しているので、EQCは重いし、航続距離は5台中で一番短い車両。メーカー側は400kmと言っているけど、リアルでは312kmしか出ないようだ。でも、最大トルクは765Nmもあるので、EQCは重くても、加速性は良い。0−100は5.1秒とかなりクイックだ。価格も1000万円を超えるので、ジャガーといい勝負。

合計110万円の補助金を引こう

今は、EVの買いかもしれない。というのは、購入車両ごとに支給する補助金は、次のように設定される。車両本体価格から国の補助金(40万円)と、自治体A県の補助金(40万円)、それに自治体B市の補助金(30万円)を差し引いた金額が購入負担額になる。例えば、472万円の日産リーフを購入した際、合計110万円を差し引いた額になるので、結果として362万円を支払うことになる。

まとめ

ルックスと走りを求めるなら、ジャガーを選ぶし、高級感と乗り心地を重視するならメルセデスをセレクトするだろう。また、速さ、未来性や走りの良さを求めるならテスラを選択する。リーフe+のハイパワー仕様が出たおかげで、日産は他のEVライバルと勝負できるようになった。僕の独断と偏見だと、絶対的な航続距離を求めて、一番乗って楽しいEVを選ぶなら、717万円の4WD付きモデル3。エントリーの511万円のモデル3の価格はリーフとほとんど変わらないので、新鮮さと走りがいのあるテスラにすると、楽しく乗れるはず。例えば、エントリーのモデル3を選択すると、合計110万円の補助金が引かれるので、511万円のEVが400万円になる。 また、最も格好良くて走りが刺激的なのは、ジャガー。同車はSUVなのに、コーナーではそういう雰囲気を全く感じない。とにかく、今までEVはつまらないとか、電欠は怖いとか、思ってきていたら、その誤解をコロッと変えてしまうEVが現れたので、ぜひ近いうちに試乗して見て欲しい。最初は少し慣れが必要だけどね。

ピーター ライオン

1988年より日本を拠点に活動するモーター・ジャーナリスト。英語と日本語で書く氏 は、今まで(米)カー&ドライバー、(米)フォーブス、(日)フォーブス・ジャパン 、(英)オートカーなど数多い国内外の媒体に寄稿してきた。日本COTY選考委員。ワー ルド・カー・アワード会長。AJAJ会員。著作「サンキューハザードは世界の’愛’言葉 」(JAF出版、2014年)。2015から3年間、NHK国際放送の自動車番組「SAMURAI WHEELS」の司会を務める。スラッシュギアジャパンでは自動車関連の記事・編集を担当し、動 画コンテンツの制作に参画する

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