自動車は驚くほど進化し続け、最近の車にはAI関連やグラフィック処理をするコンピューターが搭載されているものも少なくありません。主に自動環境制御や運転支援、ナビゲーションなどの機能に使われる車載コンピューターですが、実はゲームをプレイできるほど高性能なものもあります。テスラのイーロン・マスク氏は、以前より約束していたSteam統合のデモが、早ければ来月にも実際に行われるかもしれないと、自身のツイッターで明かしました。
テスラはすでに、「Cuphead 」や 「Sonic the Hedgehog」などのシンプルなゲームを楽しめるTesla Arcadeを1年以上前にリリースしています。Tesla SとXのヘッドユニットにはAMD Ryzen CPUとRDNA2 GPUというパワフルなCPUとGPUが搭載されており、「Cyberpunk 2077」などの、より高い処理能力を要するゲームをプレイも可能とみられています。
マスク氏は今年初め、PCゲーム最大級のプラットフォームである「Steam」とテスラ車が統合される日が近いと予告していました。そして、マスク氏は最新のツイートで、このSteam統合のデモが早ければ2022年8月に利用可能になると述べており、統合の作業はほぼ完了したことを示唆しました。
テスラSとテスラXにSteamが統合は、自動車業界とエンターテインメント業界におけるテスラの影響力を示すことができます。Steam統合が数年の間だけでもテスラの独占的な機能となれば、他のEVとの大きな差別化要因となり、テスラを電気自動車市場でさらに優位に立たせることができるでしょう。
しかし、ゲームを車に統合できるからといって、必ずしもそうすべきとは限りません。車載コンピューターでゲームをすることについては、すでに懸念や不安の声も上がっているのです。ドライバーが運転中にゲームをしていなくても、同乗者がゲームをすることで、ドライバーの注意力が散漫になることが予見され、規制当局も対応方針を打ち出すのに頭を抱えているようです。テスラは当然、乗客とドライバーの安全を確保するために安全装置を設置するでしょうが、機能を誤用したり悪用したりする人がいることは安易に予見できます。
また、コンピューター業界では、ゲームは必ずしも信頼できるソフトウェアではないことを考えると、安定性の問題もあるかもしれません。ゲームのクラッシュがOS全体に悪影響を及ぼし、それが事故の原因になることも懸念されます。とはいえ、運転手のいない自動運転車でゲームをすることは、未来派やビジョナリストが描くシナリオのひとつです。いつものように、テスラとマスク氏は、一歩先を見据え、最初の一歩を踏み出しているようです。
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