快適性と刺激の両立 マツダ「MX-5ミアータ」試乗レビュー

マツダが北米で販売する「MX-5ミアータ」は、日本仕様の「ロードスター」とは異なり2.0Lエンジンを搭載しています。ミアータの愛称で親しまれ、初代から根強い人気を誇るピュア・スポーツですが、改良新型の2020年モデルは仕様が向上し、安全装備も充実。使い勝手や乗り心地はどのような仕上がりになっているのか、スラッシュギアの米国編集部が試乗しました。

2020年モデルのマツダ「MX-5ミアータ」に試乗。

(以下、米スラッシュギアのクリス・デイビスによるレビュー)

大人になるということは大変なことだ。年齢を重ねるごとに責任を伴い、マツダMX-5ミアータのようなパンチの効いたスポーツカーでも「分別のある乗り方」が求められる。しかし、ミアータの持つ純粋さは長年のファンに受けているとはいえ、走りに妥協を許さない潜在的なオーナーの数は増えていない。運転の楽しいクルマであることはわかっているが、果たして柔軟性はあるのだろうか。

2020年モデルのミアータの価格は、非常にリーズナブルな26,580ドル(275万円)から。ベースグレードの「Sport」は贅沢とは言いがたいものだが、上位グレードと同じ2.0L 直列4気筒エンジンを搭載し、181馬力、205Nmのトルクを発揮する。

サイズ感がよく、握りやすいシフトノブ。

また、6速MTも採用されている。ATは1,350ドル(14万円)で用意されているが、わざわざ選ぶ必要はない。いや、むしろやめたほうがいい。ミアータのクラッチとギアは操作しやすいので、運転に慣れていなくても問題ない。そもそもマニュアル操作ができないのであれば、ミアータに乗って勉強するのがいいだろう。

快適性を求めるなら、上位グレードのの「Grand Touring」グレードがいいだろう。シートヒーターなどを備えて31,670ドル(328万円)からとなっている。レザーシートやナビが不要なら、中間グレードの「Club」もある。こちらは30,290ドル(313万円)から。

車載システムは使い勝手が悪く感じられた。

ClubとGrand Touringには、リミテッド・スリップ・ディファレンシャル(MT車のみ)とスポーツサスペンションが装備され、車内にはAndroid AutoとApple CarPlayに対応した7インチのタッチスクリーンディスプレイがある。

マツダの車載システムは、まあ、お世辞にも使い勝手の良いシステムではない。運転中はタッチスクリーンがロックされてしまい、センターコンソールのダイヤルをいじくり回すことになる。スマートフォンと接続して、AppleやGoogleのUIに切り替えられた方がずっと満足できる。

本革巻きのリムは細くて握りやすい。シフトノブとの相性も抜群。

内装としては、リーズナブルな価格設定を実現するためのコスト削減は上手く隠されている。本革巻きのステアリングホイールは細くて握りやすく、シフトノブにも革が使われていてサイズ感もぴったりだ。ただし、場所によってはプラスチックの安っぽさを感じることもある。

わたしなら、その程度の安っぽさは受け入れられる。ルーフは操作がしやすく、車内からも簡単に開閉できる。トランク容量は130Lしかないが、ルーフを格納してもスペースが犠牲にならないのは美点だ。車内は非常に狭い。わたしの身長は172cmだが、窮屈な感じがする。

モデルチェンジを重ねるたびに大型化しているものの、収納スペースや広さには期待できない。

しかし、ミアータの走りを考えれば、我慢できるだろう。世代を重ねるごとに、「マツダがうっかりオープンカーの火種を消してしまったのではないか」と心配するピュアなエンスージアストもいるが、幸いなことに、その気配はない。

パワーアップが必要になるのは、軽量化やチューニングが限界に達したときだ。約1,060kgという車重は、数値的には軽いように見えても、実際に走ってみると2.0Lのエンジンパワーとの相性がいい。

クルマの性能に頼った走りはできない。ドライバーの力量がモノを言う。

低回転トルクだけで突っ走ったり、電子制御に頼ったりすることはできない。美しくバランスのとれたクラッチとシフトノブがタイミングよくシフトダウンを促す。大きなタコメーターから小さなディスプレイまで、すべてが完璧なドライビングにフォーカスしている。

ステアリングは軽快でコミュニケーションを取りやすい。サスペンションのセッティングは、コーナリングでの遊び心を残している。クルージングができないわけではない。ミアータに乗って高速道路を数百km走ってみたが、ルーフを閉めても風切り音やロードノイズには事欠かないものの、ただの週末の遊び道具ではないことを思い知らされた。唯一、硬いビルシュタイン製ダンパー(SportとGrand Touringに標準装備)だけが気になった。“GT” と呼ぶにはアグレッシブ過ぎる。

リーズナブルなオープンカーだが安全装備は充実。

EPAサイクルでの燃費は市街地モードで11km/l、 高速道路で14.4km/lとなっている。2020年モデルでは、ブラインド・スポット・モニター、車線逸脱警報システム、自動緊急ブレーキなどの安全技術も標準装備されている。

正直なところ、ミアータが遊び心のある走りで魅せてくれることに疑いはなかった。最も気にかけていたのは、今年の年次改良(2020年モデル)によって、市街地でも高速道路でも、より日常的な使い勝手が良くなるのかどうかということだった。それが実現すれば、MX-5はセカンドカーではなくなる。

サーキットに持ち込まなくとも、日常の運転が楽しくなるクルマだ。

そして、今回の試乗で、マツダはミアータの魅力を損なうことなく、より充実したクルマに仕上げてきたことが証明された。クルマへの興味が薄れ始めていたとしても、MX-5の素晴らしいシフトを握れば、ドライブの楽しさが夕方や週末に限定される必要はないことに気づかせてくれる。

総評 9点/10点

長所

  • 崇高なドライビング・ダイナミクス
  • 2.0Lエンジンは完璧なパンチ力を発揮する
  • 6速マニュアルは現代のアイコンにふさわしい
  • 2020年モデルは仕様がアップグレードされている

短所

  • 狭くて実用性が低い
  • 高速道路での乗り心地は非常に硬い
  • 車載システムは使いづらい

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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