日産の次世代「Z」を予告するコンセプトカー、「フェアレディZプロトタイプ」をじっくりと見てみましょう。鮮やかな黄色を基調としたZプロトタイプは、長年のZファンを満足させるだけの伝統性と、このセグメントでの競争力を高めるだけの未来性を両立させています。
その結果、明らかに古典的な「Z」であると同時に、新しさも感じさせるものとなりました。日産のデザイナーは、初代「240ZG」のフロントを飾っていたオリジナルの半円形のライトを参考にしたと語っています。
サイドビューは、リヤのエッジをフロントフェンダーよりもわずかに低くするという、日産の視覚的な特徴を再現したスクエアなリヤと、「300ZX」にインスパイアされたテールランプが特徴的です。
テールライトは、リア全体を覆うように縁取りされたブラックの長方形の部分に埋め込まれています。フロントには、現行のZと同じような長方形のグリルがありますが、レトロなフィンが装備されています。
よくあるようなコンセプトとは異なり、Zプロトタイプはショーカーのようなワイルドさはありません。ホイールは19インチのアロイ製で、リアにはデュアルエキゾーストが装備されています。サイドスカート、フロントロワーリップ、リアランスにはカーボンファイバーが採用され、軽量化が図られています。
内装も非常に実用的なものになっています。新旧の要素の組み合わせで、ディープコーン型のステアリングホイールにはクイックアクセスコントロールを装備。ドライバー正面には12.3インチのデジタルメーターを搭載しています。
また、シートやインストルメントパネルのステッチなど、車内にもイエローを採用しています。シート自体には特殊な積層素材を使用しています。
もちろん、みんなが一番気になったのはパワートレインでしょう。日産はここ数年、電動化を推進しており、来年にはリーフに加えてアリアという全電動クロスオーバーが登場します。そのため、新型Zはハイブリッド車になるのではないか、あるいは全電動モデルになるのではないかとの憶測には事欠きません。
しかし、今のところ、そういった情報は何もありません。排気量、パワー、トルクは不特定ですが、V6ツインターボと6速マニュアルトランスミッションが搭載されています。
日産は、このクルマは「開発研究車」であり、「市販モデルの仕様を確認したり、反映したりするものではない」としていますが、ハイブリッドモデルやEVについては口を閉ざしています。
「プロトタイプとして、過去50年間『Z』を定義してきた優雅さとコントロール性とパワーを同期させるための作業が現在進行中です」と、同社はいささか曖昧に答えています。このデザインコンセプトは、「新世代のZを発売するという会社の意思表示」と見ることができるとのこと。
いつデビューするのか、どのようなエンジンを搭載するのか、価格はいくらになるのか、そしてこのZプロトタイプの詳細がどのくらい市販モデルに反映されるのか、それについてはもう少し待たなければなりません。
全長4,382mm、全幅1,850mm、全高1,310 mmというサイズは、比較対象とされるトヨタ「スープラ」にほぼ匹敵します。ただ、来年にでも販売されるのではないかと期待するのは少し早計だったように見えます。
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