詳細:ポルシェ「カイエンSクーペ」 家族向けクーペSUV

昨年、ポルシェ「カイエン」に加わった新グレード「Sクーペ」は、通常のカイエンクーペと上位のカイエンターボクーペの中間に位置するモデルです。家族で乗れるスポーティーなSUVとして、2020年モデルの北米仕様車に試乗しました。詳細をご紹介します。

ポルシェ「カイエンSクーペ」

(以下、米SlashGearのクリス・デイビスによるレビュー)

私なら、108,050ドル(1153万円)のポルシェ「カイエンSクーペ」に、この鮮やかなラーヴァオレンジの塗装は選ばないだろう。派手なホディカラーで目立たせる必要なく、十分に心惹かれるSUVだ。

ポルシェがカイエンSクーペで用意するカラーの中で最も鮮やかなラーヴァオレンジは、それだけで3,150ドル(33万円)かかる。これは、標準的なカイエンからクーペにランクアップする時の金額に近い。

ポルシェ「カイエンSクーペ」

このクーペスタイルのルーフラインは、好みの分かれるところだろう。それ以外は、トランクを横切るLEDライトバーや、4連のヘッドランプなど、ほとんどのディテールは同じだ。クーペを選択すると、ルーフラインが20mm下がり、リアが18mmワイドになる。

また、優れた2.9LツインターボV6エンジンはチューニングされ、最高出力434馬力/最大トルク550Nmを発揮する。

ポルシェ「カイエンSクーペ」

8気筒エンジンの愛好家は、よりパワフルで高価なカイエンターボクーペに目を奪われるかもしれないが、V6も決して立ち上がりの良さに欠けることはない。ピークトルクは1,800rpmから発生し、8速のティプトロニックSも積極的な走りを後押しする。

カイエンクーペにはスポーツクロノパッケージが全車に標準装備されている。ドライブモードには、ノーマル、スポーツ、スポーツ+、カスタマイズ可能なインディヴィジュアルのほか、センターボタンを押すと20秒間のブーストが可能で、0-97km/hのタイムは4.7秒となっている。

ポルシェ「カイエンSクーペ」

ライトウェイトスポーツパッケージを選択すれば、同タイムを10分の1秒短縮することができるが、これには14,000ドル(150万円)の追加費用がかかる。最高速度は262km/hだ。

最高のハンドリングを誇るSUVとして名高いカイエンには、大きな期待を背負っている。カイエンはその期待に応えてくれているが、その分の対価が必要だ。価格を押し上げるオプションとして、アダプティブ・エアサスペンション(PASM)システム、ダイナミック・シャシー・コントロール(PDCC)、トルクベクタリング・プラス(PTV+)が挙げられる。

これらのシステムにより2トン超の車重を感じさせず、コーナーでは驚くほどフラットな走りを維持し、V6のパワーを前後左右にシフトさせる全輪駆動を実現している。

ポルシェは後輪駆動を好むが、カイエンは可能な限りのグリップを確保するためにトルクを4輪に配分している。それはハードにプッシュしているときにも有効だが、手入れの行き届いていないアスファルトの上でも、快適さと安定性を感じさせてくれる。

カイエンSクーペのオーナーがこのクルマをオフロードに持っていくとは思えないが、砂利、泥、砂、岩場といった悪路に対応した設定があり、車高を上げてグランドクリアランスを確保することができる。3,500kgの牽引能力も備えている。

これらのモード設定にアクセスするには、12.3インチのセンタータッチスクリーンを使用する。最初は操作が複雑に感じるが、ホーム画面を数分かけてカスタマイズすれば使いやすくなるだろう。動作は速くて反応もいい。

Android Autoはないが、Apple CarPlayが搭載されており、HVACシステム、サスペンション、その他さまざまな設定を行える。しかし、グロスブラックのセンターコンソールは指紋がつきやすい。ドライバー正面には大きなアナログタコメーターと、2つのスクリーンが並んでいる。

ポルシェ「カイエンSクーペ」

クワッドゾーンのクライメートコントロールとレザーは標準装備だが、今回の試乗車には3,750ドル(40万円)のエクステンデッドレザーインテリアパッケージが付いていた。

シートは8ウェイ調節可能なスポーツシートを装備。パノラミックガラスルーフは車内を明るくしてくれるが、まだかなり暗い。私のお金なら、この地味なスレートグレーではなく、明るめのレザーオプションを選んだだろう。

ポルシェ「カイエンSクーペ」

後部座席はやや低めに配置されており、2~3人が座れるスペースがある。傾斜したルーフラインにもかかわらず、大人が座っても頭上にスペースが残されている。当然のことながらトランク容量は減少しており、通常時620L、後部座席を下げた状態では1,510Lとなっている。これはカイエンよりも140~200L少ないが、その差が気になるのは背の高い荷物がある場合だけだろう。

しかし、私が気になったのは、高級車には標準装備されているはずの安全機能がないことだ。360度カメラやブラインドスポットモニターはオプションだ。車線維持機能付きアダプティブクルーズコントロールのようなものに追加料金を請求するのは理解できるが、このクラスのSUVにはあるべき装備も、オプションリストに含まれている。

ポルシェ「カイエンSクーペ」

ポルシェのオーナーはその価格戦略に慣れているので、違和感がないのかもしれない。カイエンSクーペの走りに魅了され、オプションパーツが増えても気にならないのだろう。私もその点について理解はできるし、8km/lという燃費も喜んで受け入れることができる。

ターボモデルに比べて安価ではあるものの、家族向けのクルマを選ばざるを得ないドライバーにとっては妥協のないモデルだ。2020年モデルのカイエンSクーペでの新しい生活を想像するのは簡単だ。鮮やかなオレンジ色の塗装は忘れてほしい。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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