トヨタ「スープラ」2.0L仕様 アメリカ人の感想

トヨタ「スープラ」の2.0Lエンジン搭載モデルが北米市場でデビューしました。既存の3.0L仕様より安価で、手に入れやすい入門モデルとして注目を集めています。現地のアメリカ人はどのように捉えているのか、米SlashGear編集部がレビューします。

(以下、米SlashGearライターのクリス・デイビスによるレビュー)

日本からやってきたスープラは、BMWとの部品共有についてあれこれ言われることも多いが、発売後1年を経て、しっかり期待に応えるクルマに仕上がった。軽量ボディと手ごろな価格設定の2.0L仕様は、現代のスープラのあるべき姿ともいえる。

2021年モデルのスープラの価格は、3.0L仕様が50,990ドル(546万円)から。新たに追加された2.0L仕様は、42,990ドル(460万円)からとなっている。

好みが分かれるデザイン

賛否両論のあったデザインは、時間が経つにつれて意見が軟化してきている。だが、昨年登場したばかりのスープラが人々を魅了するにはまだ早すぎるようだ。単にトヨタの新しいデザインに見慣れていないだけかもしれないが、意見は割れている。

スープラは見る角度によって表情を変える。私はスープラの横顔が好きで、特にブラックアウトされたAピラーが気に入っている。

大胆に突き出したテールライトも、レクサス「LC」のテイストを感じさせる端正なものだ。膨らみのある長いボンネットとルーフラインが見事に調和しており、デザイナーが高い目的意識を持ってプロポーションを仕上げたことは間違いない。

好き嫌いが分かれるのは、おそらくフロントマスクではないだろうか。私も正直に言うと、まだ好きになれないでいる。

ニトロイエロー(写真)の塗装は鮮やかで、グリルやエアダクトの黒とよく似合う。標準の18インチ鋳造アルミ製10本スポークホイールは、ツートンカラーでスマートだ。なお、3.0L仕様では1インチ大きい19インチとなる。

インテリアの完成度はトヨタ車随一

内装を見た第一印象として、現在のトヨタ車の中で一番素敵だと思う。BMWと多くを共有しているということすら忘れてしまう。トヨタとBMWの部品共有には賛否両論あるかもしれないが、私は何の問題も感じていない。

3.0L仕様のパワーシートとは異なり、シートの調整は手動で行わなければならないが、だからといって快適性やサポート性が劣るわけではない。ブラックのアルカンターラとレザーの組み合わせもいい感じで、コーナリング時もしっかりと身体を支えてくれる。

ドライバー正面には8.8インチのデジタルクラスター、ダッシュボード中央にはインフォテイメント用の8.8インチディスプレイが鎮座している。

オプションで、12スピーカーの500W JBLオーディオシステムやApple CarPlayのワイヤレス接続機能を追加することができる。

インフォテインメントシステムのUIはBMWの流用だが、悪くはない。ただ、画面自体がもう少し運転席側に傾いていればいいのにと思う。

軽快で扱いやすいハンドリングマシン

2.0L直列4気筒ターボは最高出力255馬力/5,000rpm、最大トルク400Nm/1,550rpmを発揮し、パワーはすべてZF製8速ATを介して後輪に送られる。MTはまだ設定されてない。スポーツカーファンは文句を言うだろう。

一方の3.0L仕様は、直列6気筒から最高出力382馬力、最大トルク500Nmを引き出す。比較するとどうしても見劣りしてしまうが、最高速度は250km/hと変わらない。むしろ、2.0仕様の方が低いエンジン回転数でピークパフォーマンスを発揮する。

車重も1,530kgから1,440kgと約90kgの減量に成功しており、より軽快で機敏に感じられるはずだ。

BMW製の4気筒ターボは優秀で、ボンネットにトヨタのロゴが付いているからといって、その才能が失われることはない。ターボが効いてくるまでのラグがなく、トランスミッションもキックダウンを嫌がらない。

0-97km/h加速は5.0秒と、3.0Lの3.9秒には負けるものの、正直なところ私はそんなことは気にしていない。ストレートでの加速力よりもコーナリングの良さの方が重要であり、なおかつ楽しいと思っている。

ステアリングはサクッとしており、ボディロールはほとんどなく、全体的に遊び心がある。コーナーに飛び込んで減速しても、パンチの効いた直4ターボがすぐにスピードを上げてくれる。

MTを求めている人でも、ステアリングホイールのパドルを「カチッ」と鳴らせば、ホットなZF製トランスミッションに心を揺さぶられるかもしれない。

サウンドは、残念ながら6気筒ほどの魅力はない。トヨタもサウンドに気を配ってはいるが、刺激は少ない。

それ以上に残念なのは、アダプティブダンパーの不在だ。きれいに舗装された路面ではそれほど問題にはならないが、接地感が薄く、安定を失いやすい点は否定できない。

ハンドルを握れば分かる本当の価値

スープラの復活は、スポーツカーファンにとって希望であると同時に、難しい問題でもあった。伝説的な銘板となっているからこそ期待も大きい。実際、5代目スープラは先代ほどユニークではないとして失望している人もいる。

トヨタは新型スープラを、より多くの人にとって扱いやすく、身近な存在にすることを選んだ。これは正しい戦略だと思う。最大の課題は、デザインの好き嫌いを乗り越えて、ハンドルを握ってもらうことだろう。

2.0L仕様のスープラは、実際に運転することで価格以上の価値を実感できる。このクラスでは一番のスイートスポットといえるクルマだ。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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