世界12社限定取材『Maserati Winter Drive Performance』:雪に覆われたロッキー山脈をMaseratiで走破する方法

Maserati開催の雪上イベントを最速レポート!

Maseratiの魅力は一言では言い表すことができません。イタリアンスタイルの 曲線美 、グランドツアラーとしての高い走行性能、まるで楽器のような音を奏でる独特のマフラーサウンド。長年にわたり多くのファンを魅了してきた、独自の世界観をもつブランドです。そんなMaseratiに対して、「都会的な高級スポーツカー」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

イタリアの高級車ブランド Maserati。雪上での走行性能はいかに。

しかし、Maseratiの車は冬のドライブやオフロード走行においても、抜群の性能を発揮します。Maserati開催のイベント「Winter Drive Performance」にSLASH GEARが参加し、その実態を探りました。

常に最適なトルク配分を行うAWDシステム

コロラド州を縦断するロッキー山脈。その山間に位置するクレステッド・ビュート(Crested Butte)は、かつて鉱山の町として栄え、今ではスキーシーズンになると多くの観光客が訪れる美しい町です。MaseratiのWinter Drive Performanceは、真冬の雪深い危険な山頂で開催されましたが、それには十分な理由がありました。

標高2,700mの山頂に設けられた特設コース。イベントには Levante GTS、Ghibli S、Quattroporte が参戦した。

2日間にわたって行われたこのイベントは、Maseratiの新しい「Q4 Intelligent All-Wheel Drive System」の実力を、氷に覆われたコースで試すためのものでした。MaseratiのQ4 AWDシステムは、通常走行時にはエンジントルクの100%を後輪に振り分けるので、後輪駆動のスポーツカー感覚を味わえます。システムが急加速時や極端なコーナリング時のスリップを検知すると、必要なトルク(最大50%)を瞬時に前輪へ送ります。駆動系は150ミリ秒以下と瞬きよりも速く反応し、必要な時に必要なだけトラクションとグリップを改善します。このトルク配分は、車内の7インチ多機能ディスプレイでリアルタイムにモニターされます。

SLASH GEARの記者はLevante GTSに試乗。トルクベクタリング機構が雪道でも安定したコーナリングを実現する

それだけではありません。リミテッドスリップディファレンシャルやQ4 Intelligent AWDと連動する、トルクベクタリング機構も備えています。コーナーを攻める時、コーナーの内側にある車輪にわずかなブレーキを加え、反対に外側の車輪には多くのトルクを供給。左右独立で制御することで、安定した姿勢でドライバーの意思通りに曲がります。滑りやすい路面でも性能を発揮する機構です。

システム全体は、電子制御式多板湿式クラッチと前車軸のトランスファーを介して作動します。システムはまさに「Intelligent(インテリジェント)」 で、コンピューターが各車輪のグリップを分析し、最適なトルク配分を瞬時に判断します。それによって安全性と運転の楽しさというふたつのバランスが取れており、後者は特にMaseratiの車にとって重要な要素です。

特別設計のPirelli製冬用タイヤを装着

安全かつ快適なドライブには、車そのものの性能だけでなく、タイヤの性能も重要です。

イベント時、MaseratiはタイヤメーカーのPirelli(ピレリ)と提携し、同社が開発したスタッドレスタイヤを装着していました。SLASH GEARの記者が乗り込んだのは、「Pirelli Scorpion Winter」を履いたLevante(V8エンジン搭載車)。Scorpion Winterは、高性能SUV向けに特別設計された 、広い溝や幾何学的なトレッドパターンを持つ冬用タイヤです。

ハイパフォーマンスカー向けに特別設計されたPirelliの冬用タイヤ。快適性を損なうことなく、雪上でも卓越したグリップ力を発揮した。

Scorpion Winterのほかにも、「Pirelli Winter Sottozero 3」を装着したMaserati Ghibliがありました。Winter Sottozero 3はセダンなどに向けて設計された冬用タイヤで、スポーティなハンドリングを損なうことなく最大限の安全性とコントロール性を提供します。

一方、Ghibliと同じセダンのQuattroportには「Pirelli Sottozero Series II」を装着していました。Sottozero3とは異なり、Series IIはスポーティーな非対称のトレッドデザインを採用しています。車内側は乗り心地と雪上でのトラクションのために最適化されており、外側は濡れた路面での安全性、および乾いた路面でのハンドリングを向上させるように設計されています。

MaseratiのIntelligent AWDシステムに、Pirelliの高性能冬用タイヤの組み合わせ。それはまさに、「鬼に金棒」と言えるものでした。

真冬の山頂で縦横無尽の走り

イベント初日、手にしみるほど寒い中、凍り付いたコース上でのブレーキテストからスタートしました。その後、ハンドルを切りながらブレーキをかけたり、ドリフトを繰り返したりして、AWDシステムやタイヤの感触を確かめていきます。

Maseratiはコロラドの標高2,700mの山に、スラローム・コースを作っていました。真冬に開かれた2日間のドライブイベントは、想像以上に過酷なものだったようです。参加した記者によると、「正直なところ、自分が興奮しているのか、恐怖を感じているのかは分からなかった」とのこと。この特別なイベントは、Maseratiが展開する2020年モデルの高級スポーツセダンとSUVのラインナップをアピールすることも目的としていましたが、参加者たちは無事にテスト走行を終えられるよう祈っていたことでしょう。

自然豊かな地域故に冬の厳しさもすさまじく、Levanteに乗る直前には雪が降り、風も強く吹いていました。そんな危険な状況にもかかわらず、アクセルペダルを踏んだとき、車とタイヤはパニックを起こすことなく、見事に走り出しました。

凍ったコーナーで華々しくドリフトするLevante。Intelligent AWDシステムは、Pirelliのスタッドレスタイヤの援護もあって的確に反応し、安定した走行を見せました。車内には、550馬力を発揮するV8エンジンの、脈打つような轟音が響きます。この雪上走行の模様はSLASH GEARのYouTubeチャンネルでも紹介しています。

Maserati Levante GTSのダイナミックなドリフト映像は要チェック。

真冬のロッキー山脈の過酷な気象条件の中、Levanteは安全かつ快適なスペースを提供してくれました。冷えた手を温めるステアリングヒーターや、二重ガラスのパノラミックサンルーフにより、身を切るような寒さから守ってくれる安心感がありました。

スポーツセダンのGhibliにおいても、同じレベルで運転を楽しむことができます。搭載しているのはパワーユニットは、あのFerrariが供給する3.0LのV6エンジンで、430馬力・580Nmというハイパワーを生み出します。なお、Ghibliの2020年モデルにはソフトクローズドア、革製ステアリング(ヒーター付き)、複数の安全機能がセットになったアドバンスド・ドライバー・アシスタント・システムも標準装備されています。

また、MaseratiはGT Sport Packageというトリムを新たに追加し、2020年モデルの全車種で適用されます。Ghibli GT Sport Packageには、フロントマスクとリアが専用デザインになるほか、20インチまたは21インチのDark Perseoホイール、色が選べるブレーキキャリパー(赤、青、黒のいずれか)が追加。インテリアにも、光沢のあるピアノブラックのウッドパネルが施されます。

想像以上の性能に思わず笑みがこぼれる SlashGear のスタッフ。(YouTubeの動画より)

走る道を選ばない、真のスポーツカー

イタリアンスポーツの魅力が詰まったMaserati。今回のWinter Drive Performanceで、雪上での走行性能も抜群に高いということがわかりました。ローマの市街地やアルプスの山岳地帯など、変化に富んだイタリアの路面状況が、Maseratiの高いバイタリティーを生み出したのかもしれません。

もちろん、雪道だけでなく、砂漠や山道などオフロード性能も期待できるでしょう。特にLevanteは最低地上高が高く、そういった荒れた路面に適しているかもしれません。一見すると、必要以上の性能が与えられているようにも思えますが、想定される購入者層の需要に応えたものです。例えば、サウジアラビアの富裕層には、砂漠を走破できるような高級SUVが好まれる傾向にあります。このように、さまざまなニーズを持つ世界中の人々に対しても、Maseratiは素晴らしい買い物になるでしょう。

 

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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