米GMが往年の名車「Hummer」を復活させようとしていることは、これまで何度かお伝えしてきました。かつてのようにガソリンを大量に消費する怪物ではなく、環境に優しいEVトラックとして、評判を一新することを目指しています。そのCMが、アメリカのスーパーボウル開催にあわせて公開されました。
ガソリンの大量消費から環境保護へ。この方向性の転換は、NBAのスター選手レブロン・ジェームスが出演するCMの焦点となっています。スーパーボウルが開催される2月2日(現地時間)に流れたこのCMは、Hummerの名に期待されるようなビッグパワーと、EVのメリットの両立を表現しています。
ちなみに、スーパーボウルの試合中継はアメリカで非常に注目度が高く、多くの企業がコストをかけて広告を出すことでも知られています。GMがHummerのCMを用意したということは、同社の期待がいかに大きいかを物語っていると言えるでしょう。GMはEVへの販売シフトを表明しており、ミシガン州デトロイトの同社工場を含むEV生産ラインに22億ドルの投資をおこなう計画を立てています。今後予定しているEVモデルのひとつがHummerで、GMのEV戦略の急先鋒として、その知名度の高さが利用されているようです。
GMが公表している情報によれば、1,000馬力のビッグパワーで0〜100km/h 加速3秒を達成できるとのこと。最大トルクは11,500lb-ft(15,591Nm)としていますが、これは実際のモータートルクよりも高い数値だと予想されます。いずれにせよ、引退間近の足の遅いトラックというわけではなさそうです。
そんな圧倒的なパフォーマンスを秘めていながら、バッテリーとモーターによるユニットから生じる騒音は、かつて積まれていたV8エンジンよりもずっと静かです。GMCはこのことを「Quiet Revolution(静かな革命)」とCM内で呼んでいます。
「この広告では、GMCの完全電動スーパートラックに期待される性能を強調しています。すなわち、驚異的なオンロードおよびオフロード能力を提供しながら、馬力、トルク、および加速に関して優れた性能を発揮するというものです。これらはすべて、電気自動車特有の低騒音とゼロエミッションに組み合わされています。」とGMC。
出演しているレブロン・ジェームスはNBAを代表するスター選手ですが、彼自身も高校時代に2003年モデルの「Hummer H2」に乗っていたことがあります。白ボディのH2はかなりカスタマイズされており、巨大なクロームメッキのホイールを装着していました。この個体は2018年に売りに出され、オークションで大金を集めることが期待されていましたが、どうやらそれは実現せず、購入価格の5万ドルには達しなかったようです。レブロン・ジェームスはCMの中で、Hummerへの親近感について語っています。
デザインや性能の一部は示されているものの、価格やバッテリー容量、航続距離といった詳細な情報は、2020年5月20日まで待たなければなりません。おそらく、この新しいHummer EVは、これまでのHummerとはまったく異なる存在になるでしょう。箱形の分厚いスタイリングは空力特性が悪く、バッテリーの消費量に影響を与える可能性があるものの、オリジナルのデザイン路線はぜひ貫いてもらいたいところ。ファンがHummerに期待しているのはパフォーマンスだけでなく、なんといっても路上での存在感ですから。
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