ゼネラルモーターズ(GM)は、EVスタートアップのニコラと提携し、テスラのライバルであるゼロエミッションのピックアップトラック「バジャー」を製造することになりました。今年初めに予約が開始されたバジャーは、「サイバートラック」ほど未来的ではないものの、バッテリーと水素燃料電池を組み合わせたパワートレインを採用しています。
ニコラによると、バッテリーの電気と水素ガスにより最大965kmまで走行できるといいます。最大トルクは1,328Nm、牽引力は8,000ポンド(約3,000kg)で、従来のガソリンやディーゼルエンジンのライバルにも負けません。
ただ1つだけ、「誰が作るのか」という問題が残っていました。ニコラは以前から、バジャーの製造を他社に委託したいと公言していました。予約開始時にも、製造元が明らかになっていない状態でした。
手を挙げたのはGMでした。同社はバジャーを設計、検証、試作、製造し、 ニコラが使用する燃料電池の独占サプライヤーとなります。その見返りとして、GMは「一定の現物出資と引き換え」に20億ドルの株式を取得し、ニコラは新株を発行します。
「GMは、1年後から2025年6月までの段階的なロックアップ条項(一定期間、株式の売却を制限する条項)が適用される」と両社は述べています。
ニコラにとっては、新型車の開発に伴う資金不安を取り除く絶好の機会となります。同社によると、10年間でバッテリーとパワートレインのコストを40億ドル(4,246億円)以上、エンジニアリングと検証のコストを10億ドル(1,061億円)以上削減する計画だといいます。
バジャーにはGMのアルティウムバッテリーが採用されます。このバッテリーは、キャデラック「リリック」、GMC「ハマーEV」など今後数年以内に発売予定のEVとも共有します。
また、GMの燃料電池プラットフォーム「ハイドロテック(Hydrotec)」も使用します。これは、水素エネルギーが長距離輸送や商業輸送の鍵を握り、給油時間の短縮が特に重要であるというGMの姿勢を反映したものです。
バジャーの販売とマーケティングは、ニコラが行います。生産開始は2022年後半からと予想されていますが、現在100ドル(予約金)で予約受付中です。
今回の提携は、EVスタートアップの買収を試みるGMの計画によるものです。2019年初頭、同社はスタートアップのリビアン(Rivian)との買収協議に失敗しています。
結局、リビアンはフォードと契約を結ぶことになり、リンカーンブランドでリビアンのプラットフォームを使用した新型車を開発する計画が立てられました。しかし、2020年になってこの開発計画は頓挫しています。
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