月周回無人衛星LROのデータが写し出すアポロ13が見た月の裏側

通称LROと呼ばれる米国の月周回無人衛星ルナー・リコネサンス・オービター(Lunar Reconnaissance Orbiter)は、1970年に打ち上げられたアポロ13号の宇宙飛行士たちが月を周回したときに見たとされる風景を再現できるデータを収集しました。アメリカ航空宇宙局(NASA)は、このデータを元に4K解像度のアポロ13号の月周回軌道を高速化再現ビデオを公開しました。

この2分24秒のビデオは、月の影に地球が隠れる「地球の入り(earth-set)」から始まり、その後画面は一瞬真っ暗になります。これは、地球入りと日の出の間にアポロ13の宇宙飛行士たちが体験した完全な暗闇を再現しています。そして、日の出へと続き、月面の地形があらわに映し出されます。ビデオは、月の影から地球が出現し、アポロ13がNASA管制室とのコンタクトを再確立したシーンへと続きます。

アポロ13は、月に向かう軌道上で発生した酸素タンク爆発事故により月面着陸ミッションの中止を余儀なくされました。電力と酸素の共有低下により宇宙船の機能を失いかける絶体絶命の危機を乗り越え、無事帰還を果たしたアポロ13は「成功した失敗」として知られています。今回公開されたビデオでは、そのアポロ13号とNASA管制官とのコンタクトが途切れた「空白」の間に宇宙飛行士たちが見たであろうとされるアポロ13号の窓から望む月の景色を再現したものです。想像を絶する境地に立たされながら、自分たちの地球帰還に向けて冷静に任務を遂行したアポロ13の宇宙飛行士に思いを馳せながら見るビデオは感動をもたらすことでしょう。アポロファンでなくても、クレーターが生み出す月地表面の陰影を美しく再現した一見の価値があるビデオです。

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