毎年春に観測されるという火星の謎の「雲」が明らかになる

火星で観測される奇妙な現象がまた1つ明らかにされました。火星南部に春が到来すると、火星のアルシア山の火山付近に奇妙な水氷の雲が現れるのです。雲は何百キロも伸びてから、何時間もかけて消えていきます。研究者たちは、長きにわたって現象の詳細な研究を進めてきました。欧州宇宙機関のESAマーズ・エクスプレスは火星のウェブカメラから観測を続け、例の細長い雲の秘密に迫りました。その謎は地形によって引き起こされる風の向きにヒントがあります。

火星のアルシア山で観測される謎の雲

神秘的な雲に関する不可解なポイントは、その場所にあります。この現象が起こるアルシア山は、雲が発生する、火星唯一の低緯度地域であるのです。そして、もう1つの奇妙な点があります。この地域には、この時期にはアルシア山で見られるような雲は、他の火山では観測されていないのです。しかしながらこの観測は困難を伴います。火星の大気は高速で変化しやすく、非常にダイナミックで、惑星を周回する宇宙船の制約が研究者の行手を阻みます。例の雲を観察することは研究者にとって大きな挑戦と位置付けられています。

研究者は、これらの課題を克服するために、ビジュアルモニタリングカメラ(マーズ・エクスプレスに取り付けられたVMC)を頼りにしていました。当初、カメラは宇宙船に設置され、ビーグル2着陸号が、マーズエクスプレスから予定通り分離したかを確認するために使われていました。その後、カメラの電源は落とされていましたが、数年後に再びアクティブになり、火星の画像を収集して公開するなど、いわゆるアウトリーチに使われていました。当初の目的とはやや異なっていたのです。

謎の「雲」を形作っていたのは地形に影響された風

「最近、VMCは科学用カメラとして再分類された」とリサーチャーのホヘル氏は語ります。彼によると「空間分解能は低いですが、視野が広く、さまざまな現地時間で全体像を見るのに欠かせません。また、長期間にわたって、小さな時間ステップで進化を追跡するのに最適です。その結果、多くのライフサイクルにわたって雲全体を調査することができました。」

研究チームはこのデータを利用して、具体的なサイズを明らかにしました。幅が150キロメートル、長さは約1800キロメートルの雲が最も広範囲にあると分かったのです。これは火星でこれまでに観測された中で最大の地形性雲です。これは惑星の表面の山や火山などの地形上の特徴によって、風の向きが一方向に制限された結果として形成されます。この例では、高さ20 kmのアルシア山が火星の大気を乱し、雲を形作っていたのです。これは、上昇気流の際に、湿った空気が火山の側面に押し上げられ、一定の高さの間でぎゅっと凝縮されるために発生します。

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