肝臓内に中性脂肪の貯まった状態を脂肪肝といいますが、アルコールをほとんど飲まない人に起こる脂肪肝を非アルコール性脂肪肝疾患と呼ばれ、現時点で治療法として確立されたものはありません。しかし、このまま放置すると肝障害を起こす可能性があり、自覚症状の有無に限らず、健康上の問題が何であれ対処することが非常に重要です。肥満はこの状態の発症の主要な原因であり、一般的に入手可能な緑茶抽出物と運動を組み合わせることで体脂肪を、より効率的に減量できる可能性があります。
エネルギー代謝に関連する遺伝子の増加が確認
今回の研究は、ペンシルベニア州立大学が発表した。肥満に関連する脂肪肝疾患を誘発するために高脂肪食を与えられたマウスを調べました。
マウスにはいくつかのグループに分け、おなじみの車輪を走らせて運動させ、食事にプラスして緑茶抽出物を与えました。効果を確認したところ、マウスは運動のみのグループと、運動はせず緑茶抽出物のみのグループに効果がありました。運動と緑茶抽出物の組み合わせは特に高い効果をあげる可能性があります。
まず、緑茶抽出物を与えて運動をさせたマウスでは、エネルギー生成に重要な新しいミトコンドリアの形成に関連する遺伝子が増加することがわかりました。ペンシルベニア州立大学の食品科学准教授Joshua Lambert氏は次のように説明しています。
「エネルギー代謝に関連する重要な役割を果たす遺伝子を測定したところ、運動と緑茶抽出物の併用療法を行ったマウスと、そうでないマウスとを比較すると、運動する前にはなかった遺伝子の増加を確認しました。」
減量効果はあるも過信は禁物
運動と緑茶抽出物の組み合わせに関する過去の研究では、この組み合わせは高脂肪食を与えられた、げっ歯類の心血管の健康改善に関与している事が確認できました。今回、この併用療法を受けた高脂肪食を摂取したマウスでは、肥満に関連した脂肪肝の重症度が75%も低下しました。運動もしくは緑茶抽出物、いずれかのみを与えられたマウスと、双方を組み合わせたマウスとでは比較して約50%の減少が確認できました。
とはいえ、研究者らは、この研究にはヒトではなくマウスが対象となっており、同様の結果がヒトでも効果があるのかどうか、また副作用があるかどうかを判断するためにはさらなる研究が必要であると警告している。Lambert氏は、 「この2つを組み合わせることで、我々の健康に良い結果をもたらす可能性がありますが、有効な臨床データはまだありません。」と結んでいます。
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