1,400馬力のマスタング、発進準備完了

フォードは先日、「マスタング・コブラジェット1400(Mustang Cobra Jet 1400)」を発表しました。これはフォード初の全電動ドラッグカーのプロトタイプであり、ドラッグレースを制覇するために作られたものです。それにしても、“マスタング”と“電動”という言葉を聞くのは、クロスオーバーの「マスタング・マッハE」や「マスタング・ハイブリッド」に続き、何度目でしょうか? フォードはどうしても、この2つの言葉の組み合わせを世間に広めたいようです。

昨年のSEMA(セマ:自動車パーツ見本市)では、コンセプトカー「マスタング・リチウム」も垣間見ることができました。ドイツのベバスト(Webasto)社との共同開発によるマスタング・リチウムは、デュアル電気モーターとデュアルパワーインバーターを搭載し、900馬力と1,356Nmのトルクを発生させます。

しかし、マスタング・コブラジェット1400は違います。見た目はマスタングのクーペボディですが、「コブラジェット」という名前は1960年代のオリジナルモデルにオマージュを捧げています。リチウムが現行マスタングの公道向け電動モデルであるのに対し、コブラジェット1400はドラッグレースを制するために作られたワンオフモデルです。

フォードのグローバルディレクターであるデイブ・ペリカック(Dave Pericak)氏は次のように述べています。「フォードは常に革新性を示すためにモータースポーツを利用してきました。電動パワートレインは全く新しい種類のパフォーマンスを提供してくれます。全電動コブラジェット1400 プロトタイプは、新技術を絶対的な限界まで押し上げた一例です」

ドラッグカーといえばパワーがすべて。コブラジェット1400には、そのパワーが山ほど備わっています。フォードによると、コブラジェットは最高出力1,400馬力/最大トルク1,491Nmのビッグパワーを路面に叩きつけることができます。これだけのパワーがあれば、時速170マイル(274km/h)以上で4分の1マイル(402m)を8秒以下で走るのも難しくありません。

フォード・パフォーマンス・モータースポーツのグローバル・ディレクターであるマーク・ラッシュブルック(Mark Rushbrook)氏は、「このプロジェクトは、フォード・パフォーマンスのすべてのスタッフにとって大好きな挑戦でした。私たちは、コブラジェット1400のプロジェクトを、レースカーのパッケージで電動パワートレインの開発を始めるチャンスだと捉えていました」と語っています。

この凶悪な電動ポニーカーを生み出したのは、フォード・パフォーマンスだけではありません。電気モーターとインバーターはCascadia、ソフトウェア制御はAEM EV、チューニングと組み立てはMLe Racecars、ロールケージとシャシーではWatson Engineeringというように、開発においてはさまざまな企業と協力しています。

マスタング・コブラ・ジェット1400は、今年後半のドラッグレースイベント(名称は未確認)で正式にデビューする予定です。モーターの性能やバッテリー容量、航続距離については言及されていません。しかし、電動ということは、音も静かなはずです。爆音の聞こえないドラッグレースというのは想像し難いものですが、電気自動車ならではの加速力には期待できます。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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