Audi「S6」「S7」の2.9L V6エンジンが優れている理由

これまでのAudi「S6」「S7」は、450馬力のターボチャージャー付きV8エンジンを搭載していましたが、2020年モデルのS6およびS7ではパワートレインの小型化を図り、ツインターボの2.9L V6エンジンを採用しました。ダウンサイズしたにもかかわらず、444馬力と大きく変わらないパワーを発揮するほか、V8よりもトルクが太くなっています。そのからくりを探ってみましょう。

Audiの新型ツインターボV6エンジンには、48Vのマイルドハイブリッドシステムと電動スーパーチャージャーが組み合わされています。注目すべきは後者で、幅広い速度域で素早く反応して過給圧を形成し、ターボラグを実質的に排除する優れものです。

しかし、どのように機能するのでしょうか? Audiの最新プレスリリースでは、Electric-Powered Compressor(EPC)に焦点が当てられています。ブロワーには小型の9.6 Ahリチウムイオンバッテリーが電力を供給し、惰性走行と減速からエネルギーを回収します。ブースト圧を素早く増加させるために、より低いエンジン速度からEPCに電力を供給します。

つまり、エンジンの応答性が向上し、発進時に低速トルクをより多く発生できるようになります。最大トルクは443ポンドフィート(600Nm)で、既存のV8エンジンより37ポンドフィート(50Nm)向上しています。Audiによると、このV6エンジンは、ハイエンドの「RS6 Avant」と「RS7 Sportback」の4.0L TFSI V8エンジンと同様のレスポンス特性を持っているとのことです。

また、2020年モデルのAudi S6とS7の小型エンジンは、V8よりも22%燃費が優れています。魅力的なRS6 AvantとRS7 SportbackのV8エンジンは今でも愛用されていますが、新しいターボチャージャー付きV6エンジンの巧妙なEPCシステムには感心せずにはいられません。

コンプレッサーは、ターボチャージャーの下流とインタークーラーの上流に配置されています。冷却されて密度の高まった空気が、より強い力でエンジンに送り込まれます。これにより、自然吸気の機敏な応答性と、ブーストされたトルクに富んだ感覚を味わうことができます。

また、EPCは電気で作動するため、250ミリ秒未満で瞬時に反応し、十分なブーストを提供。重量もわずか22ポンド(10㎏)と軽量です。EPCは、エンジンがアイドリング中であっても常に作動しており、スロットルペダルがわずかに下がっただけで回転するようスタンバイしています。高速域では、EPCのバルブが閉じて、ツインターボチャージャーが機能するようになります。減速すると再びバルブが開き、EPCがツインブロワーをアシストして適度なブーストを生み出します。

Audiは48Vのマイルドハイブリッドシステム(MHEV)を巧みに活用しました。V8駆動のRS6 AvantとRS7 Sportbackでは、MHEVをエンジンのアイドリングストップ機能に利用することで効率性を高めています。しかし、2020年モデルのS6およびS7では、エンジン出力と応答性の向上にMHEVが利用されています。結果、喜ばしいパフォーマンスが実現されたというわけです。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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