英McLarenはこれまでにも「P1」、「Senna(セナ)」、「Speedtail(スピードテール)」といったエアロダイナミクス効率に優れたアルティメットシーリーズを世に送り出してきました。そのアルティメットシリーズの最新モデルである「Elva」は、世界初となる「アクティブ・エア・マネジメント・システム(AAMS)」の採用により、フロントガラス、サイドウィンドウ、ルーフも装備されていないオープンコックピットを実現しています。
オープンコックピットでの高速走行は、風の直撃を受け、顔や髪がぐちゃぐちゃになりそうです。果たして、Elvaは、高速で吹き付ける風からパッセンジャーを守るフロントガラスなしで、どうやってパッセンジャーの快適さを確保しているのか。その質問に答えるため、McLarenはElvaのAAMSがどのように気流を制御しているのかを説明したビデオを公開しました。
アクティブ・エア・マネジメント・システムと聞くと、複雑な技術かと思いますが、そのコンセプトは驚くほどシンプルです。ElvaのAAMSは、フロントノーズ部分から吸収されたエアがダクトを通ってドライバーの前部に設けられたフロントのクラムシェルから高速で斜め前方に抜け出し、走行方向からの気流とぶつかり、コックピット上部に押し出されることで、コックピットを包み込む、目に見えない「バブル」を作りだすという仕組みです。
この巧妙な気流の制御により作り出されたバブルが、まるでバーチャルのフロントガラスが装備されているかの様な気流の無いコックピット空間を可能にしています。AAMSは、走行速度が上がると自動で作動し、フロントのクラムシェルに格納されているガーニーが上昇し、さらに空力効率が向上ます。手動でAAMSを有効化、または無効化してダクトのフラップを閉じることもできます。ビデオに登場するMcLarenのエンジニアリングデザイン・ダイレクターのDan Parry-Williams氏は、AAMSを作動して100から120kmhで走行中に手を頭の高さから徐々に上げ、一定の高さまで手を上げると、まるで窓から手を出しているように風を手に受けるポイントを感じられると語っています。
Elvaは、最高出力815PS、最大トルク800Nmのマクラーレン4.0リッターV8ツインターボ・エンジンを搭載し、7速シームレスシフトの組み合わせです。停止状態から100km/hへの加速は3秒未満、0-200km/h加速は6.7秒と、速さを追求したSennaを超える加速度を達成しています。
Bruce McLaren氏設計の1960年代のスポーツカー「McLaren-Elva」にちなんで名付けらたElvaは、運転の真の楽しみと興奮をコンセプトとしてデザインされたロードスターで、McLarenによると、フロントガラスを取り払うことでドライバーと車外環境が一体化するような感覚を体感できるそうです。Elavはわずか399台限定の生産となり、お値段は142万5,000ポンド(約1億8,700万円)から。仕様などはカスタマイズ可能で、オプションでフロントガラスを装備することもできます。また、McLaren Elva M1Aにトリビュートしたマクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)特別バージョンも用意されています。
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