2021年モデルMercedes-AMG GLE63 S 発表:スポーツカー顔負けのSUV

2021年モデルの『Mercedes-AMG GLE63 S』は、ロサンゼルスモーターショー2019でデビューを果たしました。2020年半ばに北米向けに発売される予定の4.0リッター ツインターボV8エンジンは、SUVとは思えないほどの凄まじいパフォーマンスを秘めています。

走りに磨きがかかったGLE63。なかでも「S」仕様はその最たるモデルだ。

スペックは以下の通り。

  • 最高出力:603hp
  • 最大トルク:627lb-ft(850Nm)
  • 0→100km/h:3.7秒

さらに、エンジンスターター/オルタネーターの電力を一時的に使用するEQブーストにより、出力21hp・トルク184lb-ft(249Nm)が追加されます。まさにスポーツカー顔負けのSUVと言えるでしょう。また、48ボルトのEQブーストシステムはハイブリッドカーと同様にエンジンをサポートし、燃費効率の向上に貢献しています。

力強く美しいスタイリングも魅力のひとつ。

7つのドライブモードで運転をより楽しく

Mercedes-AMG GLE63 Sには、AMG SPEEDSHIFT TCTという9速のトランスミッションと、AMG Performance 4MATIC+(AMGパフォーマンス仕様の全輪駆動システム)が標準装備されています。この全輪駆動システムでは、前輪と後輪に対するエンジン出力の配分を変更することが可能で、最大100%を後輪に割り振れるほか、前後比50:50と均等に分けることもできます。

また、AMG Dynamic Selectには、Comfort、Sport、Sport+、Individual、RACE、Trail、Sandの7つのドライブモードがあり、道路状況や速度域(または気分)にあわせて選べます。「Sport」「Sport+」では、エンジンやトランスミッションがスポーティな味付けに変わり、エンジンサウンドもより刺激的になります。「Individual」はオーナーの好みにあわせて各セッティングを保存できるモードです。「Trail」や「Sand」も用意されていることから、オフロード性能にも期待できそうです。「RACE」はGLE63 S専用のモードですが、公道では選ばないほうがいいかもしれません。とはいえ、AMG電子リミテッドスリップデフが標準装備されているので、安全かつダイナミックに運転が楽しめるということは間違いなさそうです。

大型SUVを機敏に走らせる悦びは、AMGならではのものだろう。

「 Hi , Mercedes ! 」

内装にも注目すべき点が多くあります。Mercedes最新のMBUX(Mercedes-Bez ユーザーエクスペリエンス)を搭載しており、音声によるコントロールが可能です。「ハイ、メルセデス」と呼びかけることで音声アシストが起動し、ナビ操作やエアコンの温度設定などを声で行うことができます。

これは筆者の個人的な意見ですが、こうした音声アシスト機能についてはどのメーカーも発展途上にあると思います。ただ、ナビゲーションなどのシステムの複雑化にともない、より安全なドライブのためにも、手ではなく声による操作は欠かせません。将来的にはAIを活用することで、一人ひとりのオーナーにあわせた、より具体的で広範囲の操作ができるようになるでしょう。

ドライバーに必要な情報を提供する2つの大型ディスプレイ。
MBUXとの組み合わせで、安全かつ快適なドライブを実現する。

そのほか、12.3インチのディスプレイを2つも備えています。ドライバー正面にあるメーター部分と、インパネ中央にあるモニターが一体化したデジタルコクピットとなっています。また、「Apple CarPlay」「Android Auto」 が標準装備されており、スマートフォンと接続することで音楽や動画などを楽しめます。

フロントシートにはヒーターとベンチレーター(換気装置。座面を冷やす効果がある)が備わっており、ほかにもスマートフォン用のワイヤレス充電器、5つのUSBポートがあります。筆者の記憶では、車載のワイヤレス充電器は数年前まで普及していなかったように思えますが、このところ搭載されていることが当たり前になってきた感があります。USBポートはいまだに便利な装備ですが、コードが運転の妨げになったり、美観を損なうことがあります。いずれ完全にワイヤレスの車も登場することでしょう。

運転支援システムとしては、車線維持機能付きのアダプティブクルーズコントロールなどが追加されています。ブラインドスポット(死角支援)とサラウンドビューカメラが装備されており、パーキングアシスト(縦列駐車などを支援する機能)もあります。全長5m近いビッグサイズのSUVではあるものの、取り回しの良さと安全性を高めるためのサポート機能が充実しています。とはいえホイールベース(前輪と後輪の間の長さ)が約2.9mもあるので、小回りが利くかと聞かれれば、「YES」とは言い難いでしょう。

また、オプション設定としてヘッドアップディスプレイ、4ゾーンクライメートコントロール(4カ所のエアコンを独立調整できる機能)、マッサージシート、Burmester 3Dサラウンドサウンドオーディオシステムを用意しています。

近い将来、自動運転システムも搭載されるようになるだろう。

SUVがスポーツカーを超える日

SUVに走行性能も求めているのであれば、スポーツカーにも負けないAMGの最新モデルが最適でしょう。2021年モデルの Mercedes-AMG GLE63 Sは、北米市場では2020年半ばに発売される予定で、価格は発表間近となっています。

いずれ日本でも目にすることができるとは思います。このような魅力的なモデルが発表され続ける限り、SUVブームはまだまだ続くでしょう。かつて人気を博した2シーターの狭いスポーツカーが、再び日の目を見ることはあるのでしょうか? いずれにせよ、憧れの車が1台増えたことに変わりはありません。

左近 山本

1994年よりカートからレーシングキャリアをスタートさせる。2002年より単身渡欧。ドイツ、イギリス、スペインに拠点を構え、約10年間、世界中を転戦。2006年、当時日本人最年少F1デビュー。2012年に日本に拠点を移し、医療法人/社会福祉法人の統括本部長に就任。日本語、英語、スペイン語を話すマルチリンガル。

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