新興メーカーNikolaがピックアップ「Badger」を発表:燃料電池とEVの融合

Nikola(ニコラ)という会社をご存知でしょうか。北米でEV開発を進めている新興の自動車メーカーです。Nikolaは今回、燃料電池とEVバッテリーを混合した電力で推定走行距離965kmのピックアップ「Nikola Badger(バジャー)」を発表しました。このトラックは燃料電池車(FCV)と従来の電気自動車(EV)を組み合わせた、新しいモデルとして販売を目指しています。Nikolaいわく、Badgerは燃料となる水素を利用できない人のために、EVバッテリーだけでも約482kmを走行できるとのことです。

Tesla Cybertruckのような奇抜なプロポーションとは異なり、Nikolaはユーザーが慣れ親しんだデザインを選んだ。

Nikolaという社名を聞いてピンとくる人もいるかもしれませんが、かのTeslaのライバルとして注目されている企業でもあります。Teslaの社名は発明家のNikola Tesla(ニコラ・テスラ)に由来することで知られていますが、同じようにEVを開発する企業が「Nikola」を名乗るというのは偶然ではないでしょう。同社はライバルと異なるアプローチを試みています。

北米では、水素ステーションはEVの充電器と比べてもほとんど普及していません。そんな状況をカバーするために、Nikolaは全国700カ所の水素ステーションのネットワーク構築を計画中だと伝えています。水素ステーションの設置場所は、今四半期中に最終決定され、発表される予定です。EVの満充電が数十分(環境によっては数時間)を要するのに対し、水素はガソリンのように数分で補給できるというメリットがあります。燃料電池とバッテリーはお互いの短所を補いあえる存在と言えます。

Badgerの最大トルクは980lb-ft(1,328Nm)、最高出力は連続で455馬力、瞬間的には906馬力を発揮します。他のOEMと共同で製造する計画ですが、そのパートナーはまだ発表されていません。Nikolaによると、Badgerは建設会社などのニーズにも対応でき、牽引能力、馬力、航続距離の点で、市場に出回っているすべてのEVピックアップを凌駕するように設計しているといいます。

このトラックには、工具、照明、コンプレッサー用の15kWの電源コンセントが装備されます。発電機なしで、建設現場における12時間もの使用に十分な容量を備えているようです。Badgerは2.9秒で時速0~60マイル(0→96km/h)に達するとのことですが、これはTeslaのCybertruckと同じ数値であるということにも注目です。また、Badgerは、パフォーマンスの低下を最小限に抑えながら時速0~100マイル (時速約160km) の速度域に対応するよう設計されており、バッテリーと燃料電池の使用バランスを考慮しながらパワーを最大40%まで抑えています。1,328Nmものパワーをフルで必要とするタイミングはほとんどないでしょうから、通常時はあえてパフォーマンスを制限することで、商用車として長期間の使用に耐えうるようになっています。

Badger(アナグマ)の名にふさわしい力強さとタフネスを発揮。インフラ整備と価格次第では広く受け入れられそうだ。

このトラックの牽引能力は8,000ポンド(約3,630kg)を超えます。サイズとしては、全長5,900mm×全高1,850mm×全幅2,160mm、荷台幅1,560mmで5人乗りと公表されています。このように細かくサイズが決まっていることから実用化は近いと思われますが、価格は発表されていません。

最近ではGMがパワフルなHummer EVを発表するなど、大型SUVやトラックのEVモデルが充実しつつあります。燃料電池車の普及にはインフラ整備など課題も多くありますが、燃料電池とバッテリーを組み合わせるというNikolaのアイデアはユニークです。Badgerのデザインも「未来感の押し売り」ではない現実的なもので、好感が持てます。どんなに画期的な技術を採用していても、消費者が「欲しい」と思えるようなデザインでなければ売れません。日本でもトヨタやホンダが燃料電池車を製造していますが、与えられた課題は水素ステーションの拡充だけではないと思います。燃料電池車にしてもEVにしても、まずは車そのものが消費者の心を引く魅力を備えていれば、そのニーズに応じてインフラの整備もよりスムーズに進むのではないでしょうか。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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