手作り感満載のPVに不安 5,000馬力のハイパーカーは実現するの?

超高級ハイパーカーの広告ともなれば、さぞかしお金のかかった迫力満点の映像コンテンツを期待するでしょう。フェラーリやランボルギーニといったブランドが、スマートフォンで撮影したようなプロモーション映像を公開することは(たぶん)ありません。しかし、デヴェル『シックスティーン』は別です。これまでに公開されている映像は、5,000hpのパワーと最高速度500km/h以上を誇るハイパーカーにはちょっと似つかわしくない、手作り感のあるものとなっています。

サーキット仕様のシックスティーンは、12.3L V16クワッドターボを搭載し、最高出力5,000hpを発揮します。公道走行可能なストリート仕様では、2,000hpのV型8気筒エンジンとなります。ドバイのデヴェル社は市販車最速記録の更新を目指し、最高速度560km/hを目標にシックスティーンの開発を進めています。

デヴェル『シックスティーン』のエンジン・チューニングの様子。(2015年)

シックスティーンは2013年に初めて公開され、2017年には市販モデルのコンセプトカーが発表されました。その圧倒的なパワーと最高速度目標から、量産化は非現実的との見方もありましたが、このエンジンの映像(2015年に公開)を見る限りでは、少なくともデヴェル社は「夢物語」で終わらせるつもりはないようです。

画質については、無礼な表現になることを許してほしいのですが、経験豊富なプロのカメラマンが撮影したようには思えません。あえてそのような演出をとっている可能性もありますが、良くも悪くも手作り感のある映像となっています。ちなみに、この映像で見られるV16エンジンは、ミシガン州のSteve Morris Enginesという会社でチューニングされています。

模型を使った空力テストやシャシーの紹介映像。(2021年)

もう1つの映像(今年6月に公開)では、イタリアで行われている空力テストの様子やシャシー、カーボンファイバー製のボディが紹介されています。上記のエンジン・チューニングの映像よりはクオリティが高いですね。しかし、動画というよりは、静止画をつなぎ合わせたようなものです。

プロトタイプによるテスト走行の様子。(2021年)

3つ目の映像(今年7月に公開)では、プロトタイプのテスト走行の様子が映し出されています。ターボを装着する前の段階でテストされているためか、残念ながらサウンドや走りは期待するほど過激ではありません。

デヴェル・シックスティーンはじっくりと時間をかけて開発が進められており、目標通りのパフォーマンスと市販化が実現すれば、自動車史に残る1台となるかもしれません。ちなみに、人気ゲーム「GTA5」ではシックスティーンをモデルにした「デヴェステ・エイト」というクルマが登場します。せっかく5,000hpものパワーがあるのですから、画面の中にとどまらず、現実の世界へ飛び出してきてほしいものです。

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です