BMWは、SUVの『X5』をベースに水素燃料電池パワートレインを搭載したプロトタイプのテストを開始しました。BMW『i Hydrogen NEXT』と名付けられたこのプロトタイプは、燃料電池で水素と酸素を反応させて走行するEV(電気自動車)です。BMWは、水素燃料電池技術が、内燃機関やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、EVに代わる未来のモビリティーになるとしています。
BMW AGの取締役会メンバーで開発担当のフランク・ウェーバーは、次のように述べています。
「水素燃料電池技術は、特に大型車クラスにおいて、持続可能なドライブトレインの魅力的な選択肢となります。そのため、水素燃料電池ドライブトレインを搭載した車両の路上テストは、当社の研究開発努力における重要なマイルストーンとなっています」
BMWは、2022年に水素燃料電池SUVの限定モデルを発売する計画を発表しています。それに向けたテスト走行が、i Hydrogen NEXTにより行われているのです。
あまり知られていませんが、BMWは2000年代初頭から水素技術に取り組んできました。セダンの『7シリーズ』をベースにした高級車『Hydrogen 7』が限定生産されたことがありますが、このモデルでは燃料電池と電気モーターではなく、水素とガソリンの両方を燃料とする6.0L V12エンジンを搭載しており、正式には世界初の量産型水素自動車となりました。
Hydrogen 7は100台しか生産されず、そのすべてがリースされていました。BMWは今回、次世代の水素燃料電池SUVを100人以上の顧客にリースすることを目標としています。
BMWによると、i Hydrogen NEXTプロトタイプは、水素燃料電池技術と第5世代のeDrive技術を組み合わせたものだといいます。パワートレインは、BMWの直列6気筒ガソリンエンジンと同レベルの最高374hpを発生させることができるとのこと。
i Hydrogen NEXTは、ジャガー・ランドローバーが開発した『ディフェンダー』の水素燃料電池プロトタイプと同様に、パフォーマンス・バッテリーを搭載しており、高い加速力と回生エネルギー機能を有します。プロトタイプには、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の700バールの貯蔵タンクを2つ備え、合計で6kgの水素を貯蔵することができます。
燃料電池技術については、トヨタと共同で開発しています。両社は2013年から、将来の自動車に搭載する水素燃料電池の可能性を検討し、実現への取り組みを進めてきました。
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