米IT大手のアップルは、新興EVメーカーのカヌー(Canoo)社の買収について協議を行ったと報じられています。アップルは現在、自動運転システムを搭載したEVの開発に取り組んでおり、早ければ2024年(あるいは2027年)に発売すると予想されています。カヌーの株価は、アップルとの協議が報じられた直後から大幅に上昇しています。
アップルは2019年に自動運転スタートアップのDrive.aiを買収しましたが、さらに多くの企業買収を検討していると言われています。カヌーもその1つです。IT系メディアのThe Vergeによると、カヌーとアップルは2020年前半に、投資または全面的な買収について協議したといいます。しかし、交渉はまとまらなかったとのこと。
昨今、新興EVメーカーの存在は珍しいものではなくなってきましたが、カヌーの取り組みには興味を惹かれるところがあります。2019年後半、ミニバンのような形状のEVを初めて披露しましたが、通常の売買ではなくサブスクリプションでの販売を想定していました。2020年初頭、カヌーに目をつけたヒュンダイがEVプラットフォームの同社との開発で提携を発表しました。
カヌーは昨年末、先進的なドライブバイワイヤ技術を採用する電動商用バンを発表しました。いわゆる「スケートボード型」のプラットフォームを採用しており、バッテリー、電気モーター、ブレーキ、電子機器、ステアリング、その他の主要な駆動系コンポーネントが統合されています。つまり、カヌーのプラットフォームはあらゆるボディ形状に対応しており、商用から乗用まで幅広いモデルの開発が比較的簡単に行える可能性があります。
報道によると、このプラットフォームがアップルの目に留まったとのこと。両社は報道に対し、公式のコメントを出していません。
最近では、アップルのEVについて、ヒュンダイが製造を請け負う方向で協議を進めているとも報じられました。
これまで多くの「テスラ予備軍」が現れましたが、研究、開発、製造にかかる莫大なコストと時間を前に次々と白旗を掲げてきました。頭の中でアイデアを描くことと、それを実際に製造して販売することは全く別のことです。
アップルにとっては、開発からアフターサービスに至るまでの一連のネットワークを一から構築するよりも、EVメーカーを買収することでそのプロセスの一部を省略するというのが現実的でしょう。
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