その昔、ポルシェの『カレラGT』はミッドエンジンスーパーカーの父と呼ばれていました。ポルシェは2000年のパリモーターショーで『カレラGTコンセプト』を発表し、4年後の2004年に生産開始。究極のグランドツーリングスポーツカーとして知られる名車が誕生しました。その1台が現在、ポルシェのメカニックの「教材」として使われています。
カレラGTは2004年から2007年まで1,270台しか生産されておらず、その姿は稀有なものです。V10エンジンと6速MTを搭載。クラッチはカーボンセラミック複合素材を使用したツインプレートが採用され、超軽量でありながら扱いが難しいと言われています。
当然ながら定期的なメンテナンスを必要としており、特にハードに運転している場合はなおさらです。ミッドマウントの5.7L V10エンジンは603馬力という驚異的なパワーを発生し、0-97km/h加速は3.5秒、最高速度は330km/hに達します。
画像のシルバーのカレラGTは、ポルシェが「キング・オブ・クラスルーム」と呼ぶ2004年製の車両です。米ジョージア州アトランタにあるポルシェ・カーズ・ノース・アメリカ(PCNA)のアカデミー・アフターセールス・トレーニング部門で「教育」目的で使われており、これまで80回近くもの分解と組み立てを繰り返してきました。
考えてみれば、もしカレラGTのオーナーがディーラーに修理を依頼しても、誰も修理方法を知らずに断られてしまったとしたらら、気まずいことになるのではないでしょうか。
「2004年、ルフトハンザ航空のボーイング747型貨物機がアトランタに到着したとき、わたしはその場にいました」
そう語るのは、カレラGTのメンテナンス方法を18年間にわたって教えてきた唯一の人物、ボブ・ハミルトン氏です。
「わたし達はカレラGTを平台に乗せて、以前のトレーニング施設があったフェニックス・パークウェイまで運びました」
この車両は現在、アトランタにあるPCNAの本拠地「One Porsche Drive」に保管されています。ポルシェによると、この車両は年に2~4回、カレラGTコースの「ファシリテーション」のために使用されているとのこと。このコースは4日間の過酷なクラスで、全員が車両の分解と組み立てを行います。
このポルシェ カレラGTが究極の教材であることに疑いの余地はありません。
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