未来のごみ収集車 米ニコラ、2,500台受注 航続距離240km

テスラには数多くのライバル企業が存在しますが、その中でも一風変わったクルマを作っているのがニコラ・モーター社です。ニコラはEVとFCV(燃料電池車)のハイブリッドとも呼べるパワートレインに注力しており、今回新たに発表されたのは「ごみ収集車」です。

ニコラは8月10日、アメリカの廃棄物処理企業リパブリック・サービス社と契約を結び、2,500台の電動トラックを製造する計画を明らかにしました。このトラックはごみ収集に使用されます。

1台も作っていないのに株価は上昇中

ここ数か月、ニコラ初のピックアップトラック「バジャー」が注目を集めていますが、発売はまだ先の話。バジャーはバッテリーと水素燃料電池を組み合わせたパワートレインを搭載し、長い航続距離とゼロエミッションの実現を目指しています。

ニコラはこれまでのところ、ピックアップやクラス8の大型トラックなど複数のモデルを発表してきましたが、実際にはまだ1台も製造されていません。にもかかわらず、同社の株価は急上昇しており、株式市場では注目株となっています。

ニコラ「バジャー」 航続距離は最大965km

最大720kWhの電力貯蔵が可能なトラックを、というリパブリック・サービスの要求に対し、ニコラは欧州市場に向けて設計した大型トラック「TRE」のプラットフォームを使用。最高出力は1,000馬力に制限されますが、それでも現在のディーゼル車や天然ガス車を凌駕するとニコラは主張しています。

ニコラは8月10日の発表で、次のように述べました。

「この新しいプラットフォームにより、天然ガスやディーゼルの3倍近い馬力を持つごみ収集車を製造できます。荷物を満載した状態でも、難なく坂道を登っていくことが可能です」

ニコラがビール会社向けに開発中の大型トレーラー「TWO」

ニコラによると、1回の充電による航続距離は最大240kmになる見込みで、最大1,200缶の廃棄物を運ぶことができるとのこと。240kmという航続距離は短いように感じますが、都市部の決められたルートを巡回する収集車であれば十分なのかもしれません。

当然ながら排出ガスを出さないだけでなく、騒音も抑えることができます。これで、ゴミの日に朝早く起こされることもないでしょう。

業界では「異例」の契約

ごみ業界に詳しい人でないと気が付きにくいのですが、リパブリック・サービスのような会社が新しいトラックのシャシーとボディの両方を1つの業者に発注するのは、非常に珍しいことです。

ニコラCEOのマーク・ラッセル氏は次のように説明しています。

「ごみ収集車の顧客はこれまで、シャシーはトラックOEMに、ボディは他のサプライヤーに発注してきました。ニコラは、シャシーとボディを完全に統合し、1つの工場で製造します。トラックには自動化されたサイドローダーとフロントエンドローダーを搭載しており、すべてゼロエミッションとなります」

ニコラ「TWO」の内装。規格は異なるが、ごみ収集車も似た雰囲気になるかもしれない。

新しいごみ収集車の公道テストは2022年初頭に開始される予定で、計画通りに進めば、2023年にはリパブリック・サービスへの生産・納車が始まる見込みです。さらに、5,000台の追加受注の可能性もあります。

リパブリック・サービスはトラックについて、次のように述べています。

「車両の電動化で期待されるメリットとして、瞬間的なトルク発生や回生ブレーキ、アイドリングなし、1マイルあたりの排出量を最大90%減少させること、都市部での静かな運行、メンテナンスコストの大幅な削減などがあります」

同社のジョン・ヴァンダー・アーク社長によると、従来の内燃機関からの切り替えにより、「大幅な運用コストの節約」が可能になるといいます。

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

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