奇抜なアイデアと情熱溢れるクルマ作りでファンを魅了してきたスズキが、「スイフトスポーツハイブリッド(Swift Sport Hybrid)」を欧州で発表しました。コンパクトなスポーツハッチバックとして人気を博している「スイフトスポーツ」に、マイルドハイブリッドシステムを搭載したモデルです。とはいえ、ただ単にパフォーマンス特性を強化するためだけに電動パワートレインを採用したわけではないようです。
世界中のファンの心を捉えた小型SUV「ジムニー(日本でいうジムニーシエラ)」をご存知でしょうか。現在、欧州におけるジムニーは、販売停止の一歩手前の状態にあります。その理由はというと、「ジムニーのCO2排出量の増加が、2020年以降の欧州全体における企業別平均CO2排出量に悪影響を及ぼす」というもの。
これはつまり、ジムニーだけでなく、スイフトなどの他車種も販売を継続するためには電動化が不可欠であることを意味しており、今回のハイブリッド導入に至りました。現在は1.4Lのターボチャージャー付き4気筒ガソリンエンジンを搭載していますが、ここに48Vのスターター/ジェネレーターと小型のリチウムイオン電池パックを追加しました。
しかし、スイフトスポーツハイブリッドは通常のスイフトスポーツよりも最高出力が10馬力低く、127馬力(hp)となっています。時速0-60マイル(96km/h)のタイムは9.1秒と、やや遅くなっていますが、メリットも大きく得られました。
小さな電気モーターとコンパクトなバッテリーパックを採用しており、重量増加は33ポンド(約15kg)に抑えています。コンパクトハッチバックにとって最大の武器である軽さは維持しています。また、電動部品はすべて前部座席の下に配置され、重量配分の改善が図られています。これにより、軽量かつアジャイルなハンドリングを実現しているとのこと。
スイフトスポーツハイブリッドは高級車ではないものの、マイルドハイブリッドパワートレインによって、CO2排出量を抑えながら50mpgの低燃費を確保。スズキによると、CO2排出量は従来の135g/kmから127g/kmに減少しています。また、ハイブリッドモーターは、エンジン回転数2,000rpm以下から173lb-ft(約235Nm)のトルクを発揮。低速での運転がよりスムーズになっています。
ハイブリッドシステムも巧妙です。ターボチャージャー停止時にパワーブーストを行うほか、発進・停止時にも始動。高速道路の長距離走行では、全電力を使って車を惰性で走らせることもできます。このシステムは、運転中にブレーキをかけたり減速したりしたときにエネルギーを集め、バッテリーを充電します。
喜ばしいのは、6速マニュアルギアボックスが標準で備わっていることです。スズキは新しいシフト機構を採用し、より滑らかなシフトチェンジを可能としました。標準装備としては、17インチのアルミホイール、リアプライバシーガラス、革巻きのステアリング、オートエアコン、フォグランプ付きLEDヘッドランプ、および6スピーカーオーディオシステムが含まれます。
運転支援系システムには、アダプティブクルーズコントロールと車線維持アシストが標準で搭載されています。価格はまだ発表されていませんが、北米では「もし販売されるとしたら21,500ドル(約232万円)になりそう」と予想されています。もちろん、スズキの四輪車が北米で復活するという話はないので、彼らもさぞかし羨ましがっていることでしょう。ただ、日本での販売価格については明らかになっていません。スイフトスポーツは、そのパフォーマンスや品質に対して比較的リーズナブルな価格設定が魅力のひとつなので、できる限り抑えてほしいところではあります。
スポーティーなホットハッチにハイブリッドシステムを導入することに対して、ネガティブな印象を抱く方もいるかもしれません。それでも、スズキが電動化に向けて本格的に動き出したことは良いことだと思います。トヨタやホンダから新型のコンパクトカーがリリースされている今、ハイブリッドという大きな武器を手にしたスイフトスポーツは、どのような活躍を見せてくれるのでしょうか。
アメリカで出るんですか?スズキはアメリカでは売ってないですが。気になったのでので英語の記事を見てみたら、「アメリカでもし出るならこのぐらいの値段かな?絶対でないけどね…」みたいなニュアンスで書かれてますよ。
Tetsu様、ご指摘ありがとうございます。仰る通り、スズキはアメリカで四輪車を販売しておらず、新しいスイスポも販売の予定は今のところないようです。私の文章力が足りず、誤解を与えるようなニュアンスになってしまい、申し訳ございません。訂正させていただきます。
ご指摘をいただき、勉強になりました。今後も、的確な情報をお伝えできるように頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします。