フォルクスワーゲン(VW)はワールドプレミアが間近に迫った新型EV「ID. Buzz」のティーザー画像を公開しました。初代VW T1キャンパーバンのディテールを継承したID. Buzzは、エミッションをゼロに抑えたEVですが、最大限の楽しみを提供してくれることを期待します。
ID. Buzzコンセプトは、新EV用アーキテクチャであるMEBプラットフォームが多様なモデルに展開できるということを示すために、同プラットフォームのプレビュー第一弾の一つとして発表されました。市場からの好反応を受け、VWはID. Buzzの市販化を決定しましたが、実際のID. Buzzデビューには少し時間がかかった様です。
ID. Buzzの登場を待つ前に、VWは、欧州でEVハッチバック「ID.3」や米国でEVクロスオーバー「ID.4」をデビューさせました。また、ID. 5や、3列シートSUVのID.6の計画も進んでいます。
ID. Buzzで気になることといえば、コンセプトで見られた奇想天外とも言える機能が、実際の市販車にどれほど取り入れられるのか、そして、機能を詰め込みながらも価格を販売可能範囲の域に留められるのかという点でしょう。当初コンセプトは、動く座席と再構成可能なキャビンを備えた、時に自律的で、非常にフレキシブルなアクティビティ・ビークルとして提案されました。このようなコンセプトは、大量生産、大量販売に適したものではありません。
ID. Buzzは、5人乗りの乗用バンと、前列シートの後ろに約3,908Lのカーゴスペースをもつ商用バン「ID. Buzz Cargo」の2種類で登場するということが今回明らかになりました。
初代マイクロバスがその魅力的なディテールと柔軟性で人気を博したように、VWはID. Buzzを個性的なEVと位置づけたいと考えている様です。VWの発表によると、乗用バンには、7色の単色カラーと4色の2トーンカラーを用意。インテリアでは、ホワイトとエクステリアの仕上げを反映したカラーのツートンカラーを採用しているそうです。
また、オプションでシートクッションやダッシュパネル、ドアトリムにもエクステリアのカラーを反映させることができます。アンビエントライティングも用意され、30色のカラーチェンジが可能です。
そして何より、私たちをワクワクさせてくれるのは小技の効いたディテールでしょう。「新型のディテールへのこだわりは、インテリアの各所を飾る個性的なID. Buzzモチーフにも見てとれます。」とVWは語ります。ひと目見ただけでは見落としてしまいそうな、栓抜きやアイススクレーパーといった機能的でインテリジェントな機能にまでID. Buzzのモチーフが施されているのです。
もちろん、巧みなモールディングやアクセサリーがID. Buzzの主役というわけではありません。ID. Buzzの真意は、環境に優しいクルマをつくるということです。VWは、まだ特定されていないEVドライブトレイン(米国市場ではデュアルモーター構成となる見込み)に加え、素材やファブリックのサステナビリティにに関しても公表しました。
革などの動物性素材は姿を消し、代わりに人工的な素材が使用されています。シートカバー、フロアカバー、ヘッドライナーには、約10%の海洋プラスチックと90%のリサイクルペットボトルを混合したSEAQUAL糸など、リサイクル製品を原料とした素材が使われています。VWによると、従来の素材と比較して、二酸化炭素排出量を32%削減できるそうです。また、VWグループとして初めて採用されるArtVelours ECOは、71%がリサイクル製品でできています。
航続距離、性能、価格、ID. Buzzがどれだけ柔軟性を兼ね備えたマイクロバスなのかなど、ID. Buzzに対する疑問はまだ多く残されています。ID. Buzzは欧州時間3月9日に発表される予定です。
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