美しき超軽量V12サウンド ゴードン・マレー『T.50』が英国で初公開

ゴードン・マレーの最新スーパーカー『T.50』が、英国で開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで初公開されました。T.50は元レーシングドライバーのダリオ・フランキッティがステアリングを握り、グッドウッド・モーター・サーキットを3周走行。F1マシンのようなエンジン音を観客に聴かせました。

新型T.50は、自動車デザイナーのゴードン・マレー氏の最初の作品であるマクラーレン『F1』と同様に、キャビン中央に運転席があり、ドライバー含めて3人を乗せることができます。ボディ後部には、654馬力と466Nmのトルクを発揮する、特注のコスワース製3.9L V12ガソリンエンジンが搭載されています。このエンジンは12,100rpmまで回転し、市販車に搭載されている自然吸気エンジンの中で最も高回転かつ高出力であることが特徴です。

世に出ているハイパーカーの多くは、驚異的な加速力や最高速度をアピールしていますが、T.50はそれとは正反対です。確かに、強力なエンジンと軽量なカーボンファイバー製モノコックボディにより、空腹のチーターよりも速く加速することは間違いありません。しかし、ゴードン・マレーはこれまでで最も軽く、最もドライバーにフォーカスし、最も優れたエンジニアリングを施したスーパーカーにすることに焦点を当てました。

そのため、ボディのテール部分には直径40cmのファンが搭載されており、「境界層制御(Boundary layer control)」の原理に基づき、空気で車体を地面に押さえつけるダウンフォースを生み出す働きをします。6つのエアロモードが用意されており、ファンは足回りにある2つの可動式ダクトやウィングと連動します。

コスワース製のV12エンジンも別次元のものです。アイドリングストップから最高回転(12,100rpm)まで0.3秒以下で回転するので、標準装備されている6速MTのシフトチェンジはなかなか大変そうです。また、エンジンの重量は177kg以下に抑えられており、公道走行可能なV12ガソリンエンジンとしては最軽量です。

しかし、T.50の素晴らしさを存分に味わえるのは、限られた人だけです。ゴードン・マレー・オートモーティブはT.50を100台しか製造せず、価格は310万ドル(約3億5,000万円)からとなっています。さらにサーキット走行に特化した仕様の『T.50 Sニキ・ラウダ』を25台、430万ドル(約4億9,000万円)から販売。納車は2022年前半に開始される予定です。

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

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