注文が殺到して納車待ちが続いているトヨタの『RAV4 PHV(プラグイン・ハイブリッド)』は、欧州や北米でも高い人気を誇るSUVです。しかし、走行中に突然現れた障害物を回避する能力を見る「ムーステスト(別名:エルクテスト)」を行ったところ、意外な結果が出てしまいました。
ムーステストは1970年代からスウェーデンで実施されてきた安全性の評価試験で、ムース(ヘラジカ、エルク)など前方に飛び出してきた動物を回避するための操作からこの名がつきました。歩行者や落下物、事故車など、予期せぬ障害物が現れた際の危機回避能力はどんなクルマにとっても非常に重要です。
SUVのように比較的重心が高いクルマであっても、アグレッシブなステアリング操作を行った際でもバランスを保てるよう、高い安定性が求められています。一般的に、多くのモデルではシャシー性能や電子制御スタビリティコントロールにより安定性を確保しようとします。
スウェーデンの自動車雑誌「Teknikens Värld」が行ったムーステストによると、2021年モデル(最新モデル)のRAV4 PHVの危機回避能力は、標準のハイブリッド仕様よりも「非常に悪い」と評価されています。
このテストでは、後部座席に人が乗っている状況を想定して重りを載せ、コース上に設置したコーンを連続で回避していきます。結果、時速68kmという比較的遅い速度でも、コースを通過することはできませんでした。画像を見ると、ホイールのリムが路面に接触しそうになっているのが分かります。
「スタビリティシステムがまったく効いていないようです」とTeknikens VärldのLinus Pröjtz氏は指摘しています。「リアエンドが滑ってしまい、強くハンドルを切らないと立て直せません」
一方、トヨタ・モーター・ヨーロッパ(トヨタの欧州法人)は、独自に行ったというムーステストの結果を公表。声明の中で、RAV4は安全に走行でき、世界中のさまざまな安全規制をすべて満たしていると主張しました。とはいえ、トヨタはこのテストに合格できるようRAV4 PHVをアップデートする計画を立てているとのこと。
このアップデートは2021年第1四半期に行われる見込みで、新車だけでなく、販売済みの車両に対してもインストールできるようになるといいます。
以下、トヨタ・モーター・ヨーロッパの声明文。
「RAV4プラグイン・ハイブリッドは、すべての開発テストに合格し、世界中の安全規制を完全にクリアしています。さらに、トヨタの社内基準にも適合しており、さまざまなテスト状況で規制値を上回る性能を発揮しています。また、RAV4プラグイン・ハイブリッドは、プリコリジョンシステム、レーンディパーチャーアラート、ビークルスタビリティーコントロールなど最新の安全技術を含むトヨタセーフティシステムの最新バージョンをフル装備していることも特筆すべき点です」
「また、Teknikens Värld社の評価を受けて、極端な障害物回避操作を含むムーステストを再現し、同様の結果を得ています。今後は、RAV4プラグイン・ハイブリッドがTeknikens Värld社のムーステストに合格できるように対策を講じていきたいと考えています。それまでの間、RAV4プラグイン・ハイブリッドが安全に運転できることをお客様に安心していただきたいと思います」
「しかし、継続的な改善の精神に基づき、2021年の第1四半期中にこのアップグレードをご希望のすべてのお客様にご利用いただけるようにし、その後まもなく新車に導入する予定です」
(原文)
“The RAV4 Plug-in Hybrid has successfully passed all development testing and fully meets all safety regulations in force in the market on a worldwide basis. Furthermore, it also complies with Toyota internal standards, which surpass the regulatory requirements in a wide array of testing circumstances. It must also be noted that the RAV4 Plug-in Hybrid is fully equipped with the most advanced version of the Toyota Safety System including a comprehensive range of the latest safety technology, among them a Pre-Collision System, Lane Departure Alert and Vehicle Stability Control.
Following Teknikens Värld’s evaluation, we have replicated their Elk test, which includes an extreme obstacle avoidance manoeuvre, and have produced similar results. As a countermeasure, we will now take steps to ensure that RAV4 Plug-in Hybrid can pass Teknikens Värld’s Elk test. In the meantime, we would like to reassure our customers that the RAV4 Plug-in Hybrid remains safe to drive.
However, in the spirit of continuous improvement, we will make this upgrade available to all customers who would like it within the first quarter of 2021, and we will introduce the upgrade into mass production shortly afterwards.” Toyota Europe
この手のテストには問題点があって、コース設定及び進入速度がどの車でも一定で、運動性能のいいスポーツカーに有利で、真逆のSUVやミニバンには不利な設定になっていることが多い。
さらに言うと、速度が遅かろうと実際の運転であんな運転したら、普通のドライバーの力量だったらそもそもそんなレーンチェンジなんてできないし、どのみち事故ってるということ。
普通物理学や運動力学の知識が少なからずある人ならわかるのだけど、重量が重いほど慣性があるのでハンドル切ってもすぐ動かないし、すぐ動かない分大きくハンドル切れば、その分動く量が大きくなるので、動きの収束性が悪い。これは電子制御をいくら進化させても、重量、重心、タイヤのグリップと言った車両の諸元で決まる限界性能を超えた時点でこういう結果になるので、この手の試験結果を見て、「この車は危険」と思うのではなくて、車間距離をしっかりあけて、速度を控えめに安全運転し、後ろから速い車がきたらすぐに譲るという適切な行動をすれば良いだけの話。
自動車雑誌や自動車評論家は専門かぶるけど、たいてい文系だったりレーサー上がりだったりで理論を正しくしっかり理解してる連中が多い。自動車メーカーからしたら営業妨害。
この手のテストには問題点があって、コース設定及び進入速度がどの車でも一定で、運動性能のいいスポーツカーに有利で、真逆のSUVやミニバンには不利な設定になっていることが多い。
⇒公平な条件のどこに問題があるのか分かりません。SUVにハンデあげろってことですか?(笑)
後ろから速い車がきたらすぐに譲るという適切な行動をすれば良いだけの話。
⇒自分でお書きの通り、「普通のドライバーの力量だったらそもそもそんなレーンチェンジなんてできないし、どのみち事故ってるということ」ですよね~、自己矛盾!(笑)。日本の高速道路運転していたら、下手な運転手がたくさんいるのご存じでしょうか。
自動車メーカーからしたら営業妨害。
⇒このmoose testをしっかりクリアしている自動車メーカーにはマーケティング上ポジティブではないでしょうか。例えば、BMWだったり、VOLVOにとっては。
まあ、日本で売ってるRAV4は、欧州のRAV4よりもチープなブレーキやタイヤを搭載しているので、もっと悲惨な結果になるでしょう。日本ではヘラジカが道路に出てくることはないとかの言い訳はやめてくださいね。
回避運動性能より、ライトを広範囲に照らすとかナイトビジョン搭載するとかの方がいい。
BMWで鹿をよけて路外逸脱したわ!