欧州で最も人気の三菱車はランサー・エボリューションでも、パジェロでもない。それは6年で販売台数が20万台を突破したプラグイン・ハイブリッド車である三菱アウトランダーPHEVだ。同車が登場したのは7年前だけど、その後、凄まじい記録を作り続けてきている。すでに2018年12月に、世界No1プラグイン・ハイブリッド車になっていた。欧州でも5年連続でNo1の座を獲得した。これだけ売れた理由は3つある。
この価格で、同車に似ているライバル車がない
1つ目は、アウトランダーPHEVは今大人気のSUVである。全世界でSUVというジャンルが最も伸びているカテゴリーで、乗りたがる人は増える一方だ。2つ目は、同車はプラグイン・ハイブリッドなので、多くの国で、購入すると補助金がもらえる。つまり購入価格がグーンと下がる。そして、それと同じくらい重要だと言えるのは、プラグインだからこそ、買った人が「自分は環境のために良いことをしている」と思えること。
3つ目は、このアウトランダーPHEVがユニークであることだ。つまり、この価格で、同車に似ているライバル車がないのだ。最近、ジャガーI-PACE、テスラ・モデル3、メルセデスベンツEQC、BMW iX3、アウディe-tronなど、多くのEV車が市場に登場するが、400万円台ではアウトランダーPHEVは非常に珍しい存在。
これだけ成功すると、欧州のような主な市場では期待度は高止まりだ。しかし、英国の辛口ジャーナリストが、2019年用のマイナーチェジ仕様をチェックした時、ほとんど変わっていない外観を批判はしたものの、パワートレーンの進化を確認した際は目が点になったようだ。有力媒体「トップギア」では、「な~んだ、外観ではLEDヘッドライトとホイールしか変わってないじゃないか。でも、その鉄板のボディの下を見てみると、オヤ! 機械的な部分はほとんど全部進化しているんですね」と、印象を新たにしたよう。
新しい2.4Lエンジンは燃費や加速性を向上
その通りだ。今までの2Lエンジンの代わりに、新しい2.4Lの4気筒ガソリンエンジンが搭載される事によって、燃費や加速性が向上されている。後輪のeモーターがパワーアップしたし、発電機やバッテリーの容量も15%ほど上がっている。それに、ステアリング、ブレーキ、サスペンション、4WDのハイブリッド・システムも全て改良されているわけだ。今回の改良のポイントは、新基準であるWLTPへの対応だ。国際基準の新燃費表示「WLTPモード」で、燃費は49.9km/L、CO2排出量は46g/km。実は欧州で新しく登場してくるドイツ製のEV流SUVが実際に現れるまで、WLTP基準に対応できているSUVは、アウトランダーPHEVしかない。
トップギア編集部による新アウトランダーPHEVの評価は、一旦エンジンなどの進化を褒めつつも、やはり辛口なコメントが多い。「後輪のモーターは13馬力上がって94馬力になりましたが、0-100km/hの加速タイムは0.5秒しか速くなっていないし、電動走行可能な距離は60kmから65kmまでしか伸びていません」と。僕から見ると、車重1900kg以上の重い電動SUVしては立派な距離だろう。
EVモードでは135km/h走行可能
トップギアは続ける。「エンジンが大きくなったと言うことと、バッテリーの容量も拡大したことによって、EVモードでの最高速は135km/hだと、やっとM11(という高速道路)での平均速度まで達しています。」「ステアリングもブレーキも改良されているそうですが、僕らが試したところ、ブレーキもハイブリッドにありがちな人工的なペダルフィールだし、ステアリングの反応も若干遅め」と指摘する。
しかし僕から見ると、旧型の2L仕様のステアリングはそうだったけど、新2.4L仕様では随分とフィーリングが良くなったと思うし、ブレーキフィールは一般のガソリン車とまではいかないにしても、ペダルフィールの剛性感は十分だ。
僕も3回ほど旧新アウトランダーPHEVに乗っているけど、外観を見ても、運転しても、確かに同車の歳は感じるが、車内のコンセントから炊飯器が使え、eバイクの充電もできるオールマイティな、これほどリーズナブルな電動SUVはないと思う。
トップギアがいくら辛口的なコメントを飛ばしても、なんでアウトランダーPHEVが20万台のセールスを突破したかと言えば、多くの一般顧客から見ると、同車こそ「一番乗りたい、理想的なSUV」だからだ。ドイツ勢から魅力的なEV流SUVが登場してこようと、同三菱車より燃費が良く、走りが充実し、しかも価格がリーズナブルなSUVは当分出てこないようだ。
ここは良い
*SUVの利便性と4WDの走りのよさ
*航続距離は優秀
*孤立した場所でEバイクは充電可能、炊飯器が使える
ここはもう少し
*ルックスは古くなった
*インフォテイメントも古い
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