COVID-19の流行の影響もあり、2020年の上半期には多くの企業がチャットやWeb会議の利用を開始したのではないでしょうか。Slack、Google Chat、chatwork、LINE WORKSなどがメジャーどころですが、中でもMicrosft Teamsはデイリーのアクティブユーザー数を7,500万人と爆発的に伸ばしていると発表がありました。今回の記事ではMicrosft Teamsを取り巻く状況や今後の展望を簡単におさらいしてみましょう。
Microsoft Teams の2つの顔
Microsoft Teams(以下、Teams)は、コロナ以前から新興メッセージングサービスの雄であるSlackと競争していました。この戦いはグローバルでも熾烈な競争が展開され、パンデミックのタイミングではどちらも相当数のユーザーを獲得するも、今年5月時点の発表によるとTeamsが圧倒的な優位を築く結果となりました。多数のMicrosoft アプリとの連携が可能になっており、一般社員、マネージャー、雇用主が「ニューノーマル」と呼ばれる新しい生活様式に適応するのに役立つ機能が提供されています。(後述)
一方でビデオカンファレンスの領域はどうでしょう。GoogleからFacebook、Microsoftに至るまで、多くの巨大IT企業がZoomの座を奪うためにアップデートリリースを競ってきました。そのような中でもTeamsは、様々な機能追加を繰り返してきました。現在は300人が会議に参加できるようになっただけでなく、Zoomと同様にバーチャル背景の対応も実現しました。Zoomのセキュリティ上の問題が発覚して以降、Googleやその他数多あるサービスとシェア争いを展開してきたわけですが、近年はビデオ会議+αの領域でより一層その存在感を増していると言えます。コミュニケーションの領域を超えて業務の中心へと位置付けを新たにしているのです。
Microsoft Teamsが仕事のハブに
Teamsも「仕事のハブ」となるべくアップデートを重ねています。現在ではサードパーティのアプリやサービスと統合して、会議を簡単に始められるようになっていますし、サードパーティアプリを使用することで会議が始まる前でも、出席者に会議のトピックを表示できます。こういったサードパーティアプリケーションとの共存はMicrosoftがそのエコシステムをどこまで大きくするのかに依存するでしょうが、Slackや他のSaaSのトレンドを考えるに、ますます多くの連携が実現されていくと推測されます。
Teamsユーザーにとってはごくごく当たり前のように感じられそうですが、会議はもちろんのこと、メンバーの非同期コミュニケーションを支えるツールを展開しています。Microsoft Lists 365アプリです。課題やタスク管理、スケジュール管理などに使えるアプリで、豊富なテンプレートが用意されています。やはりTeamsとの連携を謳っているようです。
Teamsはハードウェアとも統合
Microsoftは仕事の全てがオフィスや自宅で展開されるとは考えていません。例えばMicrosoftは医療や工事の現場、小売店などの「前線」で働く人々をFirstlineWorkerと定義しています。Microsoft Teamsの多くの新機能では、このような働き方をする人々を念頭に置いて、効率的に作業しながら安全を確保できるようにしています。モバイルデバイスでトランシーバーのようなプッシュトゥトークの体験が可能になっただけでなく、Teamsにイヤホン、ヘッドフォン、さらにはヘッドセットの組み込みまでできるようになっています。Teamsが使われるシーンが大きく広がっているのです。
このように様々なアップデートを通じてTeamsは進化を遂げており、様々なサービスとの連携を強化しています。この動きは他のサービスとの競争上の理由もありますが、全体として大きな意義があると考えられます。Windows搭載のPC端末や、Officeソフトで盤石な顧客基盤を築いた今、Teamsがどんどんアップデートされることで、多くのユーザーとその働き方に影響を与えます。見方を変えれば、他の新興サービスが台頭した場合にも、膨大なユーザー数を基盤にその芽を刈り取る力を証明しました。Slackとの競争が好例です。そうした動きの中心でTeams が重要な役割を演じており、Teamsのエコシステムの拡大とアップデートがより広範な影響を与えることでしょう。
コメントを残す