米スタンフォード大学の研究者たちが、研究室内でダイヤモンドをより簡単に、より早く生成する方法を開発しました。研究チームは、人工ダイヤモンドの素をダイヤモンドがちりばめられた圧力室の中で圧縮し、レーザーを当てると圧力室内に純粋なダイヤモンドが作り出されるということです。人工ダイヤモンド自体さほど珍しくないですが、簡単に作れると言う新しい技術。それを可能としたヒントとは。
可能にしたのは熱力学の応用
研究者たちによると、熱と圧力を慎重に微調整することで、原油や天然ガスに含まれる水素や炭素分子からダイヤモンドを作ることができるといいます。研究チームの科学者曰く、ダイヤモンドの形成に必要とされるものを見直し、熱力学の法則を今までとは違ったアプローチで発見したことが、この研究の興味深い点だと述べています。
人工ダイヤモンド自体は60年以上前から人工的に合成する技術を持っています。通常、人工ダイヤモンドを作るには大量のエネルギーや金属製の触媒が必要です。しかし、結果的にこの触媒の工程を経る事で、人工ダイヤモンドの品質を低下させる事になりました。このプロジェクトの科学者たちは、触媒を使わずに物質をダイヤモンドに変えるクリーンなシステムを作りたいと考えていました。
原油から作られるダイヤモンド
通常ダイヤモンドと聞くと、指輪やアクセサリーといった装飾品がまず頭に浮かべる方が多いかと思いますが、実際は医療や産業、量子コンピューター、その他の産業など、あらゆる用途に必要不可欠な素材です。少量の純粋なダイヤモンドを作ることさえできれば一定の用途向けにコントロールし、その用途に即したダイヤモンド作る事が可能になります。チームは当初、石油タンカーから精製した3種類の粉末からこの研究をスタートしました。
一見すると岩塩にも似たこの粉末ですが、この粉末はダイヤモンドイド(diamondoid)と呼ばれており、水素を含んでいます。この水素がより早く効率的に、人工ダイヤモンドを製造するカギになります。研究チームはスモモほどの大きさの圧力室を使い、研磨されたダイヤモンドの間にこの粉末を流し込み、スイッチを入れると、地球の中心と同じような極めて高い圧力が発生します。画期的な発見とは、トリアマンタンと呼ばれる化学物質が驚くほど少ないエネルギーで人工ダイヤモンドに変わることができるということでした。この技術が進歩すればダイヤモンドの製造コストが下がり、各産業でのコストが下がり様々な分野でこの人工ダイヤモンドが活躍できると期待できます。
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