社会的孤立と孤独がカラダに及ぼす悪影響

体内(主に腸など)の炎症というと、赤身肉糖分の摂り過ぎなどが原因でさまざまな毒素が発生し、血液が汚された結果、内臓や細胞の機能がうまく働かなくなることが主な原因と言われています。しかし、イギリスのギルフォードにあるサリー大学の研究によると、食事以外にも地域へのコミュニティ活動が十分に行われていないと、体内の炎症が増加し、記憶障害や将来的には心血管疾患のような問題を含む、多くの健康問題へ発展する可能性があります。

炎症はカラダの防御反応

しかし、炎症は単に悪いものと言うだけでなく、本来は私たちのカラダを守る優れた免疫システムのひとつなのです。しかし、慢性的な炎症が過剰に起こると、損傷を受けた組織の修復をコントロールできなくなり、さらには暴走すると自分自身の組織を傷つけるようになります。炎症が長く続くと、うつ病記憶障害、さらにはガンなどのリスクが飛躍的に高まります。

サリー大学の最新の研究によると、地域コミュニティからの隔離は、炎症を悪化させる要因のひとつだと発表しました。そのテーマに関する過去30件の研究を分析したところ、この研究結果は、地域コミュニティからの隔離によって、体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに、血中に現れるタンパク質であるC反応性タンパク質が、放出される可能性があることを示しています。

孤独のストレスに弱い男性

地域コミュニティからの孤立によって引き起こされるこの負の影響は、女性と比較して男性の方がより大きいことがわかりました。研究者らは、これは男性と女性が様々な社会的ストレスに対し、どのように対処をするかの違いによるものではないかと推測しています。

この研究は、社会的孤立と孤独は必ずしも同じ意味ではないと指摘しています。孤独を経験すると、サイトカインIL-6(種々の生理現象や炎症・免疫疾患の発症メカニズムに関与している)のレベルが上昇し、炎症を引き起こす可能性が示唆された研究もあります。サリー大学の健康心理学講師であるKimberly Smith博士は、 「私たちが調査した内容は、社会的孤立が炎症と関連している可能性を示唆していますが、孤独と炎症の間に直接的な関連があるという結果には説得力が足りない」と説明しています。

一連の研究では、孤独は体内の炎症を直接増加させるのではなく、孤独な人がストレスを感じているときに、カラダの免疫システムがどのように悪影響を及ぼすのかを調べた研究です。最終的には、さまざまな炎症を起こすきっかけ―地域コミュニティからの孤立と孤独―に関連していることがわかりましたが、それは必ずしも同時に起こるわけではないということです。

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