米Alphabet傘下の自動運転開発会社Waymo。現在、自動運転車が収集した最新の走行データを公開し、自動運転車の研究者に対して、一連のコンテストへの参加を呼びかけています。「Waymo Open Dataset Challenges」はGoogleからのスピンオフで、マルチセンサーデータセットに800の新しいセグメントが追加される中で発表されました。
データセット自体は高解像度センサーデータの束で、Waymoの自動運転車が様々なエリアの道路を移動する際に収集したものです。これには、さまざまな地理的条件のほか、多数のセンサーからの情報も含まれます。車の前面と側面に搭載されたカメラから、中・短距離のLIDAR、そして両者の間で同期されたデータまで、あらゆるものが含まれています。
Waymoは、車両、歩行者、自転車、道路標識などのデータにもラベルを付けています。「このデータセットはわれわれのセンサーシステムの全機能を反映したものではなく、Waymoの自動運転システムが集めたデータのごく一部にすぎない。研究目的のためには、この大規模で多様かつ高品質なデータセットが非常に貴重であると考えている。」とAlphabetは述べました。
研究者が参加できる課題は5つあります。1つは3D検出に関するもので、1個または複数のLIDARレンジ画像とそれに関連付けられたカメラ画像が与えられ、シーン内のさまざまなオブジェクト用に3D直立枠のセットを作成する必要があります。もう1つの2Dチャレンジもほぼ同じですが、カメラ画像のセットだけを使った2D枠を作成するものです。
3つ目と4つ目の課題は、追跡です。LIDARとカメラのいずれか、または単にカメラ画像のデータの時間シーケンスを含みます。参加者はそこから3Dまたは2D直立枠のセットを作成する必要があります。最後に、5つ目の課題はドメイン適応に関するものであり、雨という条件のもとで走行するWaymo車のセグメント(ラベルのサブセットのみ)が追加されます。
チームには最大10人のメンバーを集めることができ、各チームは30日以内に最高3回まで評価を提出できます。応募は2020年5月31日まで受け付けています。Waymoは自動検証機能を使って参加者をランキングボードに格付けし、上位のエントリーは手動でチェックします。優勝したチームには、15,000ドル(約165万円)が与えられる予定です。ちなみに2位は5,000ドル(約55万円)、3位は2,000ドル(約22万円)。Alphabetの従業員もランキング入りするかもしれませんが、さすがに賞金は出ないようです。
自宅待機中の研究者たちに朗報?
Waymoのチャレンジは、配車サービス「Waymo One」の少なくとも一部がMetro Phoenixに到着してわずか2日後に登場しました。この試験的な配車サービスは、アリゾナ州フェニックスでクローズドベータの参加者に自動運転を提供していましたが、COVID-19により一時中止となっています。
「乗員とWaymoコミュニティー全体の健康と安全のために、我々はCOVID-19の終息を待ち、訓練されたドライバーと共にMetro PhoenixでのWaymo Oneサービスを中断している。カリフォルニア州でも、地元のガイダンスに従って運用を一時中止した。フェニックスでの完全無人運転は、現地の配送サービスにおいて、初期のプログラムの範囲内で今のところ継続中だ。」 とWaymoは声明を発表しています。
COVID-19により自宅へこもる時間が増えた今、自動運転車開発にかかわるコンテストは研究者たちにとって楽しいゲームなのかもしれません。
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