テスラは、自動車業界の常識を覆し、自動車の電動化を推し進めたことで知られています。テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は、完全自動運転の未来を長い間約束してきましたが、同社の「フルセルフドライビング(FSD)」機能は、その名前とは裏腹に、現時点では運転支援に留まっています。この機能はテスラで最も波紋を呼んでいる機能のひとつで、この度マスク氏が明かしたFSDに関する事前発表により、さらに激しい動揺を招くことが予想されます。
テスラ車には、想像力をかき立てるような、そして同時に混乱を招くような名前の機能が2つあります。その一つが全車種に標準装備されている「オートパイロット」機能で、自動緊急ブレーキなどの基本的な運転支援を提供しします。もう一つの誤解を生みがちな名前を有する機能であるオプションのFSDパッケージは、自動車線変更やドライバーのいる場所まで障害物を避けながら走行する「スマートサモン」など、より多くの機能を追加されています。この2つの名称は、テスラが繰り返し警告しているにもかかわらず、ドライバーがハンドルから手を離していられると思い込んでいることから、誤解を招くとして批判されています。
テスラのFSDは、現在、このソフトウェアのパッケージ価格が10,000ドル(約115万円)と、高額なことでも物議を醸しています。この価格は、テスラが2020年にFSDベータ版の提供を開始した当初の8,000ドル(約92万円)から約23万円も引き上げられたことになります。また、FSDを月額199ドル(約23,000円)でサブスクリプションとして入手するオプションも用意されています。
マスク氏は、1月7日自身のツイッターで、FSDの米国でのパッケージ価格が1月17日より約23万円値上げされ、12,000ドル(約138万円)となることを明かしました。これに伴いサブスクリプション料金も値上げされる予定ですが、マスク氏は値上げ後のサブスクリプション料金がいくらになるのかを明かしてはいません。
2年足らずの間に2回も値上げをしたにもかかわらず、残念ながらFSDはまだその名前どおりのパッケージを提供しているとは言えません。さらに、米オートニュースサイトのThe Driveによると、一部の選ばれたオーナーが利用できるベータ機能でさえ、まだレベル2の自動運転システムと見なされています。これらの運転支援機能は、どんなに高度なものであっても、依然としてドライバーによる監視と操作が必要です。
残念ながら、テスラのオーナーは、たとえオートパイロットが運転支援機能に留まり、ドライバーを車の操作から開放するに至っていないにも関わらず、その機能に過度な期待を抱くことを止められない様です。そのため、死傷者が出るテスラ車の不幸な事故が多発しています。テスラは、機能に関する説明や警告を繰り返し指摘していますが、あたかも自動運転が可能と勘違いを引き起こしそうな機能名称を変更することはなさそうです。
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